環境保護をすることで経済の活性化を

 近年、日本でも自然保護への関心の高まりから、従来型のマスツーリズムではなく、自然保護と観光振興の両立を図るエコツーリズムに注目が集まっています。
 これまで野口は2年半に渡り、東京都の「エコツーリズム・サポート会議」の委員として、小笠原諸島におけるエコツーリズムの推進に携わってきました。その中で東京都独自のレンジャー制度を提案、実現に至りました。
 
 野口は世界各地の国立公園や世界遺産の例を参考に、エコツーリズムの推進のためには、自然保護官(レンジャー)の存在が必要不可欠と考えていました。日本の国立公園の監督官庁は環境省で、国立公園には環境省レンジャーが配置されていますが、その実態は、許認可事務などのデスクワークが中心で、現場に出ることは少ないと言われています。
 ただ環境省にレンジャーの拡充を訴えても、なかなか国は動いてはくれませんでした。そこで野口は、2003年9月に東京都知事の石原慎太郎氏に直訴し、東京都独自のレンジャー制度の創設を提案します。翌日、突然、石原都知事は「東京都レンジャー」の創設を発表し、2004年7月には奥多摩地区と小笠原諸島に各3名ずつ東京都レンジャーが派遣されます。

 野口の提案の背景には、以下のような哲学がありました。
「これからの時代は、自分達の自然は自分達で守るといった地方主体の環境保護が必要だと考えています。たとえば白神山地と小笠原の自然はまったく異なるわけで、一律の環境保護は現実的ではない。各々の自治体が取り組むことによって、固有の自然に則した保護が可能になる」
 今後はSSASSで東京都だけではなく、他の地方自治体においても独自のレンジャー制度の創設を訴え、国に対する依存体質からの脱却、真の地方主権の環境保護に取り組んでいきます。

 またエコツーリズムを中心とした環境型地域振興にも取り組んでいきます。大抵の場合、既存の観光地では、環境保護では生計が立てれない、という理由で、反発があるものです。世界的なエコツーリズムの先進地であるガラパゴス諸島は時間的にも金銭的にもハイコストですが、世界中から人が集まります。ガラパゴスでは自然を徹底的に保護することにより生計を立てるというシステムが完璧に機能しています。
 このように、環境保護をすることで経済の活性化が図れる「環境型地域振興」にも取り組んでいきます。現在、富士河口湖町の自然の保護と活用に関する計画書の策定に取り組んでいます。