SSASSの清掃活動は、エベレストと富士山を舞台にしています。
(エベレスト清掃登山は03年度で終了)

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「エベレスト清掃登山」 
−野口の環境保護活動の原点−

 野口は、エベレストに散乱する日本隊のゴミの前でヨーロッパの登山家に「日本は経済は一流だけど、文化、マナーは三流だ」と言われ、非常に憤りを感じたといいます。
 その後、野口が日本国内でこのエピソードに触れたことより、一部の山岳関係者から
圧力がかかり始めました。要するに「黙れ」ということでした。
 エベレスト登頂後の記者会見で、野口は4年連続のエベレスト清掃登山を発表。エベレスト清掃登山は、野口にとって、日本を侮辱した西洋人に対する挑戦状であり、それを変に隠そうとした一部の山岳関係者に対する挑戦状でもありました。

 しかし清掃活動を続けるうちに、様々なことが見えてきます。中でも、ゴミを捨てる隊と捨てない隊があることは大きな発見でした。ゴミを持って帰るのはドイツ、デンマーク、ノルウェー、スイスといった欧州の国々、一方、ゴミを置いて帰るのは、日本、中国、韓国、インド、ロシアといった国々でした。
 野口は、「環境教育が進んでいる国は国自体もきれいで、ゴミの問題にもしっかりと取り組んでいる。逆もしかりだ。私は当初、日本隊の捨てていったゴミを見て、日本の登山家のマナーが悪いと感じていたけど、そんなちっぽけな問題ではなく、結局は国民性の問題であり、その国の教育が問われているということに気づいた」と言います。
 エベレストの日本隊のゴミはまさしく日本の象徴であったのです。

 その後、環境学校を始め、様々な活動を展開していくことになります。いわばエベレスト清掃登山は、野口にとって、そしてSSASSにとっての環境保護活動の原点でもあると言えます。SSASSでは03年度、04年度の清掃活動をバックアップしてきました。

「富士山清掃登山」 −富士山から日本を変える−

 富士山清掃活動は、野口健をリーダーとし、NPO法人・富士山クラブの協力のもと一般の参加者とともに人海戦術で清掃に取り組む活動です。青木ヶ原樹海をその活動の中心としています。
 青木ヶ原樹海はその大半は、綺麗な森ですが、一部ではドラム缶、廃材、タイヤ、車、生活用品、家電製品、トラックなど様々なゴミが捨てられ、ひどく荒廃しています。昨年の清掃では、土壌がヘドロのような臭いで、ひどく汚染されていました。野口は「人間の五感で最も敏感なのは嗅覚」と言います。樹海の土壌の強烈な臭いは、有無を言わさず危機感につながります。
 富士山清掃登山では、最初に綺麗な森を散策してもらい、その後、荒廃している場所に赴き、清掃活動を行うというプログラムが大半です。それは「こんな綺麗な森の中にこんなゴミがある」というコントラストにより、リアルな危機感を持ってもらいたいという野口の哲学に依拠しています。

 また巷間、「富士山はゴミがあるから世界遺産にならない」と言われていますが、野口は「たとえゴミがなくても世界遺産にはならない」との認識を示しています。富士山へ向かう県道にはあちらこちらにラブホテルの看板が立ち並び、登山道にも外灯があふれています。山頂には自動販売機が立ち並び、電話ボックスもあるように人工物が多すぎます。トイレも垂れ流しで一部では既に水質汚染が進んでいるといいます。国立公園の監督官庁である環境省の取り組みも十分ではなく、富士山は山梨県と静岡県にまたがっており、更に林野庁も絡み、ぐちゃぐちゃで管理の一元化ができていません。

 ただこれは富士山だけの問題ではありません。野口は、仕事柄、多くの国立公園を始めとする観光地に足を運びましたが、「富士山で起こっていることはあらゆるところで起きている」と言います。「全国にミニ富士がある」と。
 SSASSでは、富士山の清掃活動を皮切りに、富士山の世界遺産登録を国民運動に発展させ、日本のシンボルである富士山を変えることにより、適切な環境保護の流れが全国に波及していくことを目的としています。