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2000年エベレスト清掃登山 , ヒマラヤ

BC滞在 突然の協力依頼

2000年エベレスト清掃登山 , ヒマラヤ

2000/05/13

BC滞在 突然の協力依頼

今日は完璧に晴れ渡った。快晴、無風。しかし、ネパール側から3人が山頂アタック

をかけたが、いずれも極度の寒さの為、敗退。BCでの温度は上昇し、もう春の訪れを感じる。

 ただ、1つ心配事があり、チベット登山協会チョモランマ代表のニマ・ツェリンがゴミの状況の視察で上部のキャンプに上がったが、なにを思ったのか、突然そのまま山頂アタックをかけると言う。そして私の元へ無線連絡なるもので「このまま、山頂へ向かうが、シェルパ1人と酸素ボンベを提供してくれ」といってきた。私にはなにがおきたのか事情は良く分らないが、最終キャンプから先は未だ固定ロープも張られておらず、この春誰1人アタックすらかけていない状態で私のシェルパを提供できるはずがない。危険極まりなく、計画性のない彼の突発的なまったくもって無謀なアタックに私のシェルパを道づれにするわけにはいかず、お断りした。酸素ボンベとて、本来は自分で計画して持ってくるもの。緊急事態であれば、迷わず提供するが山頂アタックとなれば話は別である。酸素ボンベもお断りした。

 それでも彼は挑戦すると決断し、シェルパ無しで明日山頂へ向かう。彼の無事帰還を祈るが、私は未だに信じられない。時たま高所は人をおかしくするが、彼は冷静なのだろうか。心配でしょうがない。

 午前、6時30分、野口隊のシェルパ6人がノースコルから最終キャンプ(8300メートル)へと向かった。午後2時30分、最終キャンプに到着したニマ・オンチュウから連絡入り、最終キャンプは雪が覆われてしまい、ゴミが露出していないとの事。さすがに無酸素で8300メートルから無線交信が入ると、そのゼーゼーしている彼らの声がとても苦しそうで、聞いているこちらまで辛くなる。「いいから早くあるだけのゴミを回収して下りてください」とお願いした。最終キャンプにある遺体を1体発見し、ビデオで記録を撮ったとの事。のちほど、この遺体の身元を確認する為である。

 シェルパとも話したが、今回のチョモランマの気象条件では遺体の回収は厳しい。おそらく、最終キャンプの遺体をルート上から移動し、埋葬するしか方法がないだろう。埋葬といっても石を遺体の上に積み上げ、見えなくする程度だが・・・・。通常の方法としては、遺体を谷底へ落とすか、クレパスがあれば、そのクレパスへ落とすのだが、最終キャンプ付近はなだらかな傾斜であり、落とせる場所がない。従って、回収し ABCへと下ろすか、それが不可能であればルートから外した場所に石で覆い尽くすかしかない。いずれにせよ、次に私達が最終キャンプ入りしてからその方法を決断することになるだろう。

 ここ数日いつもそうなのだが、決まって午後3時を過ぎるとネパールサイドから巨大な入道雲が流れてくる。モンスーンが始まれば納得であるが、まだその時期ではないはずだ。そして反対側のチベット側からは高度の低い雨雲に似たような黒い雲がやってきて、それらの雲が BC上空でぶつかり合う。毎日、同じ状況が起こる。シェルパ達も今年の気象現象に首をかしげている。

 法政大隊は5月17日にチョモランマ山頂アタック予定。他の日本隊もそれに続くと思われる。丸山隊の丸山さんはシガツェの町まで休養の為、下りている。明日、明後日には BCへ戻ってくる予定。

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