本日9月16日、ネパール時間の午前8時00分、野口隊長はABCを出発し、本格的な登山活動に入りました。今回の目的はキャンプ2,3の設営、および高度順化トレーニングで、これに4,5日をかける予定です。これがうまくいけば再びABCにもどり、3,4日の休養の後、今度は山頂をめざすことができます。

 すべては高度順化にかかっており、上手くいかないとこれをまた繰り返さなければならず、時間とともに体力を奪われてしまい、無酸素による登頂は遠いものになってしまいます。

 気合充分、祭壇にいつもより長く手を合わせる野口隊長。ABCからは氷河を右に見ながら長いモレーン(氷河の圧力によってできたガレの山)を3時間ほど進み、デポジットキャンプへ。ここはキャンプ1とABCの中間点に位置し、氷河の入り口にあるため、重い登山用具などを置いておくための場所。ここから上は本格的な冬山登山になるため、私はここで隊長を見送り、ABCへ。

 スニーカーから登山靴に履き替え、ハーネス、ピッケル、アイゼンを装備し、氷河に入る。氷柱帯を横切り、標高差300メートルほどを登ります。氷柱帯のすぐ先に人が見えますがこの標高だからか、なかなか先に進みません。近くに見えるキャンプ1までここから4時間、そしてキャンプ1では延々と氷から水を作る作業が待っており、夜は頭痛との格闘。すこしずつ前へ前へ、野口隊長の楽しみにしていた長く過酷な登山は始まりました。

 シシャパンマはABCが遠く、遮断物が多い為、キャンプ3まで無線機が使えません。よって今回は隊長が帰ってくるまでの4,5日間、無事を祈って待つだけです。残されたコックのペンバ、キッチンボーイのデンディと3人で毎日祭壇の前で祈ります。

2002年9月16日
シシャパンマの麓より 高畑将之

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