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地球温暖化

定着したクールビズ

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2007/06/27

定着したクールビズ

 2005年6月1日、日本の夏は変わった。地球温暖化防止キャンペーンとして「クールビズ」がスタート。仕掛け人は小池百合子さん(当時環境大臣)。小池さんは一緒に富士山で清掃活動を行ってきた私の環境仲間だ。その小池さんがクールビズを提案し、仕込み、そして実施するまで約1年をかけたが、私は正直、人々に浸透するのか疑問であった。何故なら以前、スーツを半袖にした省エネ対策を呼びかける運動があったが、世間はその見慣れない姿に関心を示さなかった。

 登山家になりスポンサー活動で企業を回っていた時に登山家だからノータイでもいいだろうと着けずに面会したら「学生だからといってネクタイも付けずに挨拶に来るなんて非常識だ」と叱られた。しかし今ではどうだろうか。先日、エベレストから戻りスポンサー企業へネクタイ姿でご報告に出かけたら相手側はみなノータイ姿で「野口さん、外していいですよ。外すと楽ですよ」と言われてしまったのだから革命的変化である。

 後から知った事だがクールビズがスタートした直後に小池さんはパリでエルメスやクリスチャン・ディオールといった世界の一流ブランド店を訪問していた。省エネルックスはお世辞にもお洒落ではなかった。そこで小池さんはクールビズに世界のブランド力を加える事で「ドレス・アップ」を狙ったのだ。世界のブランド相手に「日本ではクールビズの名の下に大キャンペーンをする」「東京はアジアにおけるファッションの発信基地」と環境大臣自らがハッパをかけたのだ。

 そしてクールビズは単にファッションを変えただけではなく、地球温暖化対策に多くの人々が共感し関心を抱くきっかけとなった。ネクタイを外し襟元を開放すれば体感温度で2度涼しく感じると科学的研究結果がだされた。その結果、2005年、オフィスの冷房を2度ほど高めに設定した企業は32・7%となり、CO2の排出量はひと夏で46万トン減らした。そして2006年はさらにその運動が広がり3ヶ月間(クールビズの期間中)で114万トンのCO2削減にまでなった。これは250万世帯の一か月分のCO2排出量と同じだ。

 環境保護は経済の足を引っ張るといった意見が経済界からよく聞こえてくるが、クールビズはアパレル業界を初め経済効果が大きかった。これこそ小池さんが目指した21世紀型の「環境と経済の融合」の姿なのだろう。

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