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氷河湖・水環境 , 経済格差

ごみに埋まるツバル

氷河湖・水環境 , 経済格差

2008/03/10

ごみに埋まるツバル

*写真をクリックすると拡大します

 ツバルで、先に現地入りしていた遠藤秀一さんと合流。カメラマンの遠藤さんはツバル支援プロジェクト「ツバルに生きる一万人の人類」をテーマにすべてのツバル人の顔写真を一人ずつ撮影している。またNPO法人「Tuvalu Overview」の代表理事を務め、海面上昇の影響で沿岸が浸食されているのを防ごうとマングローブの植林活動を行っている。その遠藤さんの活動にコスモ石油がスポンサーとして協力している。イエレミア首相との会談後、遠藤さんに島じゅうを案内して頂いた。これは5年前から感じていたことですが、ツバルはごみ、ごみ、ごみの山。至る所にごみが捨てられている。 

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 大潮による塩害で首都フナフチでは農業が困難になり、食料の自給率は4割前後と日本並みに低い。人々はフィジーから缶詰などの食料に依存する傾向が強く、その結果、糖尿病などの病気が増えているとのこと。そして缶ジュースに缶ビールをたらふく飲んでいるので至る所に空き缶が転がっている。夜を待てないのか昼間から酔っぱらいが多い。

 島の外れにあるごみ捨て場の様子はまるで、ごみによる埋立地のごとく地面はごみに埋め尽くされていた。5年前もすでにごみに覆われていたが、私が受けた印象では倍ほどのごみの量が増えている。遠藤さんも「とにかくごみが増えた。家の周りにごみがあっても地元の人はまったく気にしないんだよね」と話す。

 そのごみ捨て場に積まれてあったのが使用済みの紙おむつ。地下水もなく生活水は雨水を溜めて使うか、海水を淡水に変える機械で作った淡水を買うかだ。したがって水は極めて貴重でオムツを洗うよりも使い捨ての方が勝手がいいとのことですが、あの山積みにされた使用済みの紙おむつにギョッとしてしまった。そして病院から捨てられた注射器などの医療廃棄物も多い。海面上昇の前にごみによって滅びやしないかと思わせるほどごみの島だ。

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山積みされた使用済みの紙オムツ

 海面上昇に対しては熱弁を振るうイエレミア首相だが、ごみに関しては質問してもさほど関心がなかったように感じられた。首相に限らず島民にごみに関して意見を聞いてみてもやはり気にしている様子がなかった。これは環境教育がなされてこなかった事と、以前は捨ててもごみになるような物がなかったのが、急激に生活習慣が変化し、以前と同じようにプラスチックやガラス、金属を捨てればすぐに土に戻るものだと考えているようだった。温暖化による被害でツバルは日本、台湾を筆頭に豪州やニュージーランド、イギリスなどからあらゆる援助を受けているが、ごみ問題に関しての援助はなされていない。またツバル政府にもごみ処理計画なるものはないに等しいとのことだった。

 西表島の海岸清掃の時にも感じたことですが、美しい海にごみは似合わない。ツバルの海は、それはそれは本当に美しい。まるで天国のような景色だ。それだけに人々に捨て続けられるごみの山が残念でならない。そしてもっとも懸念しなければならないのがごみによって確実に汚されているにも関わらず島民にまったく危機意識がないということだ。

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 日ごろ、富士山やエベレスト、また日本の海岸などの清掃活動を行っている後遺症?かもしれないが、私には海面上昇対策と同様に、いやもっと早くごみ問題を解決する方が先決ではないだろうかと強く感じていた。
ツバルゴミ捨て場


大量のごみが池に浮かぶ

池に浮かぶ大量のゴミ


 2008年3月8日 ツバルにて(二日目) 野口健

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