2008年エベレスト清掃登山 , チベット , ヒマラヤ

2008/04/18

聖火リレーの意義とは

「富士山・エベレスト同時清掃活動」の開始日が近づいているにも関わらずエベレストに関して明るいニュースはない。エベレストのベースキャンプはチベット動乱の影響でネパール軍が駐在し、また噂によれば中国軍も含まれているとのことで、どこまで活動ができるのか。そしてベースキャンプでは衛星通信機などの使用を禁止するとのお達しがネパール政府からあり、いずれにせよベースキャンプからの中継は残念ながら中止せざるを得ない。場所を変更して行う。

またある情報として中国の公安が国境を越えてエベレスト街道(ネパール側)に複数入ってきているとのこと。そしてチベットから逃れてきているチベット人を探し出しているとのこと。また「チベット解放」などと書かれた旗を掲げないように監視しているとのこと。「特にケンは気をつけた方がいい」と忠告を受けたが、もし事実ならば「そこまでするのか」と怒りまた中国に対し大いに失望する。
そして、今日、カトマンズからの連絡で北京五輪の影響で中国の聖火隊がエベレストに登頂する予定の5月10日までネパール国内でチャータヘリ(カーゴは除く)の使用を禁止(ヒマラヤの遊覧飛行含む)するとの情報が入った。もし事実となれば我々はローアバルンからチャータヘリでマナスルの麓サマ村まで飛びそこからツラギ氷河湖を目指す予定となっていたが、大幅に予定が変更となる。

もう間もなく日本でも聖火リレーが行われるようですが、これほどまでに中国の実態が明らかになり、また血が流れているにも関わらず、それでも「聖火リレーは光栄なことです」などとニコニコと笑いながら聖火リレーに参加すれば、それこそ滑稽でしかない。

私の衣服にはスポンサーのワッペンが多く目立つのでベースキャンプ周辺では着用しない方がいいのではとアドバイスを頂いたが、さてどうしたものか。せっかく大好きなヒマラヤで過ごしているにも関わらず気持が晴れない。早く平和なヒマラヤに戻ることを祈りつつ、日本社会にも大きな責任があることを最後に付け加えたい。

2008年4月17日 野口健

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