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2013年ヒマラヤ遠征

カトマンズの訪問者

2013年ヒマラヤ遠征

2013/04/16

カトマンズの訪問者

春のヒマラヤ遠征のためにネパール入り。カトマンズに来ると決まってホテルに訪問者が訪ねてくる。シェルパ基金、マナスル基金といった活動の関係者や、シェルパとして自分を雇ってくれ、といった売込みなど、何でもかんでも...。それにしても不思議なもので僕がカトマンズ入りしたその日に訪問者が現れる。どうしてみんな、僕のネパール入りを瞬時に分かっているのだろうかと...。彼らに聞いても笑うだけで答えてくれない。
20130416085803.JPGサマ村からジグメラマと学校の校長ビルとミーティング

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まず僕のところに連絡があったのがマナスル山麓のサマ村のラマ(お坊さん)と学校のビルバードル校長。7年ほど前からマナスル峰山麓に学校を建てようとマナスル基金を立ち上げ3年前に校舎が建った。全校生徒約120人。80人ほどが学校内にある寮生活。今年は校庭に食堂兼多目的ホールを建てようと準備していたが、ラマのジグメが「問題がある」と。連絡があるときは大体この「問題がある」から始まるんだなぁ~これが。

サマ村のすぐ下にもう一つの村があり、どうやらこの村とトラブルがあるらしい。問題は木材などの建築材料を運ぶのに、この村を通らなければならず、その村が「通させない」と言っているとの事。意味がわからん。そこでジグメに「トラブルの原因は?」と聞いてもノラリクラリでハッキリと説明してくれない。それでありながら、僕に「どうしたらいいのか」と。そんな事を言われても「知らんがな!」と言いたくもなるが、取りあえずここはジックリと話を聞いてみようと、僕も「大らかにならねば」と努力する。

どうやら「冬虫夏草」の問題らしい。冬虫夏草は中国や韓国で漢方薬として大人気で故に高値で売れる。ヒマラヤの村人からしたらまさに「金の卵」なのだ。サマ村の周辺ではこの冬虫夏草が採れる。ゴールドラッシュじゃないが、その冬虫夏草を求めてあちらこちらから人が集まるが、サマ村の村人からすれば「我々の冬虫夏草だ。手をだすな」となるわけで、そして争いが起こる。約10年前に別の地域だが冬虫夏草事件が起きた。冬虫夏草を探しに来ていた9人に村人数十人がククリ(短刀)で襲いかかりその場で5人が殺害された。殺害後、バラバラにされ袋に入れて川に捨てられたそうな。残る4人は恐怖のあまり川に飛び込んで逃げようとしたがこの3人も溺死。犯人らは懲役20年になったとか。

僕のマナスル遠征の時もわが隊のクックが冬虫夏草を採ったという疑惑が生じ、サマ村の村人に拘束された事件?があった(くわしくはこちら)冬虫夏草はネパールの山岳地帯に大金をもたらす半面、人々の争いが絶えなくなってしまった。

サマ村での学校建設もまたこの冬虫夏草問題に振り回されている。では、大型ヘリによってカトマンズから物資をサマ村に空輸する方法がいいのか。それはそれで約100万円の出費となる。ジグメには「地域の問題は地域で解決したほうがいい。それでダメならばヘリを使うけれど、まずは努力してみて」と注文をつけたが、さてどうなることやら。

2013年4月10日 カトマンズにて 野口健

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