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遺骨調査・収集

産経新聞 直球&曲球 ~「遺骨収集は国家の責務」試される決意 ~

遺骨調査・収集

2014/09/11

産経新聞 直球&曲球 ~「遺骨収集は国家の責務」試される決意 ~

昨日11日、産経新聞に連載企画【野口健の直球&曲球】が掲載されました。今回のテーマは、変化が見え始めた遺骨収集事業について。ぜひお読みください。以下、2014.09.11産経ニュースより転載。

=「遺骨収集は国家の責務」試される決意 =
戦没者の遺骨収集活動に携わって約10年。痛感させられたのは遺骨収集に対し国の姿勢が消極的であること。厚労省の遺骨収集は昭和48(1973)年頃に事実上の打ち切りとなった。海外戦没者の約半数である113万人のご遺骨がいまだ帰還していないにもかかわらず。それ以降は民間団体からの情報が入れば収集に行くという民間任せのスタンスが目立つ。
 では、アメリカはどうか。硫黄島で米軍側の戦死者は約7千人。その1人が行方不明のままであり、その1人を必ず見つけるとアメリカは多数の調査員を硫黄島に派遣し捜索活動を続けている。
 また、諸外国は遺骨の身元確認のために積極的にDNA鑑定を行ってきた。驚いたことに2007年、オーストラリア陸軍は第一次世界大戦中にベルギーで戦死した自国兵士の身元を割り出した。
 映画「硫黄島からの手紙」で監督のクリント・イーストウッド氏が驚いたのは日本人の出演者で硫黄島の戦いについて詳しく知っている者が一人もいなかったことだ。
 「2万人近い命を失っておきながらそのことに全く関心がない。アメリカでは考えられないことだ」と。無関心なのは国や役者だけではない。日本中がそうなのだ。
 麻生内閣の時、石破茂氏(現地方創生相)に「どうしてこの国は祖国のために戦い亡くなった方々に冷たいのですか」と嘆いたことがある。
目をつぶり、じっと僕の話に耳を傾けていた石破氏は「遺骨収集が国家の責務になっていない。国家の責務としなければ予算も人員も増やせないし、国の責任で帰すのだという責任感も生まれてこない。まずは議員立法で何とかする」。その直後、自民党は下野。ガックリさせられた。あれから5年。今年に入り新聞に大きく「自民党、遺骨収集を『国の責務』と明記する議員立法を秋の臨時国会に提出する」と報じられたではないか。
 国のために命をなげうった人を国の責任で帰すのは当然であり国家としてのプライドの問題だ。そういう決意があるかどうか今まさに試されようとしている。

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