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国際協力機構(JICA)の地球環境への取り組み

 先週、バングラデシュでの国際協力機構(JICA)の援助活動について紹介させて頂いた。しかし、同時に政府開発援助(ODA)予算の削減が続いている。ODA予算は1997年を頂点に過去10年間でおよそ4割減。

 国内の厳しい経済状況が響き、またODAが必ずしも相手国から感謝されていないのではないかといった国民の批判も根強い。例えば中国の北京国際空港のターミナル新築には日本のODAから300億円が提供されたが、新ターミナルの完成式典では日本の援助に対する感謝の表明はなかった。

 また南京母子保健センターを建設したが、その建設記念碑には日本からの援助の記述はゼロ。ショックを受けた谷野作太郎中国大使(当時)が中国に抗議したほどだった。しかし日本にとってODAは国際社会の中で存在感を発揮するための重要な外交手段だ。また環境問題に国境は無い。中国による大気汚染は日本に酸性雨、光化学スモッグとして襲いかかっている。環境対策への国際的な取り組みは自らを救う事にもなる。そこでJICAは地球環境に関する取り組みを強化。

  私がよく訪れるネパールにはまともなゴミ最終処分所がなかった。おかげでエベレストで回収したゴミの大半は日本に持ち帰るしかなかった。80年代にドイツがゴミ処分場の導入を試みたが、異臭に地元住民が反発し頓挫してしまった。ドイツの場合、ハード面の整備を進めたが地元住民への啓蒙活動や技術養成を行っていなかったため、撤退後のネパールにはなにも残されなかった。


援助が実を結びネパールにゴミ処分場が完成した。

  そこでJICAはドイツの失敗を繰り返さないために、まずは学校や地元住民に対しての環境教育、またネパール人技師を日本に招いて研修を行なってきた。その後、首都カトマンズの郊外に、環境にやさしい準好気性埋め立て方式の処分場を建設。いまではカトマンズ市内から毎日、約700トンものゴミが運ばれている。

  ネパールにとってゴミの処分場の建設は悲願であった。そして何より嬉しいのがカトマンズ市民から「日本人やJICAに感謝している。おかげで私達の生活が変わろうとしている」といった感謝の言葉をよく耳にすることだ。一方的にODAを削減するよりも、こうした「日本の顔が見える援助」に期待したい。