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 ラフマン水資源担当大臣との会談

 バングラデシュ滞在中に急遽、水資源担当大臣(現在は暫定政権のため正式名称は水資源担当顧問)にお会いする機会を得た。顧問は現在、水資源省、保健省、宗教省の3省の長を兼ねており、多忙と伺っていただけに朗報に高揚した。早速スーツに着替え、アジア・太平洋水サミット(本年12月大分県で開催)の資料を握り締め首都ダッカの中心部にある官庁へと向かった。官公庁街とは言っても20年ぐらい前の日本の公務員宿舎を思い出す雰囲気。父親が官僚だった私にとっては何処か懐かしい風景だった。



 大臣の執務室に通され約一時間お話をさせていただいたが、バングラデシュの抱えている環境問題は私が滞在期間中に目の当たりにしてきた状況を遥かにしのぐ悲惨なものに思えた。顧問いわく、バングラデシュには現在140本ほどの河川があるが、バングラデシュ独自の川は一本も無い。全てネパールやインド等から流れてくるものでバングラデシュでは川のコントロールが出来ないと嘆く。乾季にはインドのファラッカダムで水を堰き止められ横幅4kmもある川の水が干上がり、雨季には大量の水が放出され10万人が家を無くす。国土の80%が氾濫原だと聞いていたが、納得できる話だった。ダムなどを独自で作る事で水のコントロールができるのでは?と尋ねたところ、既に計画はしているものの500億タカ(1タカ約17円)以上の費用が必要で自国だけでの捻出は容易ではないと訴えられた。

 現在の最大の懸念はインドが別方向にもダムの建設を予定しており、これが完成するとYの字の片方にファラッカダム、もう片方まで堰き止められてしまうと下流国であり人口の70%が農業従事者であるバングラデシュにとっては死活問題となると声を荒立てた。その上での解決策が2つあると冷静さも忘れない。1つは二国間会議そしてもう1つは国際会議での議論だと。12月に行なわれるアジア・太平洋水サミットはバングラデシュにとって非常に有難い会議。出席はもちろんするが、分科会等、日本のイニシアチブの元で上流国と下流国の議論の場を持たせて欲しいと陳情を受けた。私は運営委員の一員ではあるが、私だけでは無理がある。ただ、ネパール・インド・バングラデシュの3国で話し合う場を提供し、一つの共同宣言を作る事を第一プロセスとして未来へつなげていく事は悪くない。次はインドにもアジア・太平洋水サミットへの出席を促しに行きたい。