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 地球温暖化

 地球温暖化をテーマにアフガニスタンやスイス、アメリカ、ツバルに訪れたのも貴重な経験となった。特にアフガニスタンは衝撃的だった。難民キャンプに集まる難民の多くが戦争難民ではなく生態系難民だった。自然環境の異変により、その土地を追われた人々だ。温暖化により山に雪が降らなくなった。水源地である山が枯れ川や井戸が干上がり旱魃の被害が深刻だ。老人に
「一番怖いものはなんですか?」
と質問した際に
「水がないのが一番怖い。我々は戦争の中で生き抜いてきた。しかし、水を失えば死ぬしかない。我々はここで死を待っているだけだ」
と村はずれに案内された。墓地であったが子供の墓がいくつもいくつも並んでいた。訪れた難民キャンプでは毎月平均して80名の子供達が水不足によりその命を絶っている。地球温暖化の原因が二酸化炭素だとすればアフガニスタンの人々がどれだけ二酸化炭素を排出しているのだろうか。我々、先進国がその豊かな生活を追及するがあまり大量生産、大量消費に明け暮れたつけがアフガニスタンの干ばつならば我々は加害者だ。死に続けている彼らにかけられる言葉など僕には見つかるはずもなかった。海面上昇で国土が失われつつあるツバルも同じだ。

 このまま海面上昇が続けば50年後には完全に水没すると言われているツバル。実際に海岸線は波に削られ無数のヤシの木が倒されていた。島の子供達が
「僕達は車やバイクには乗らないよ。だって自分達の国が海に沈んでほしくないから」
と語ってくれたが胸が痛む言葉だった。それは本来僕らの言葉のはずだ。そして日本も他人事ではない。海面が1メートル上昇すれば伊勢湾をはじめ日本の各地で水没の恐れがある。

 危機的な状況でありながらなかなか危機感を抱こうとしない地球温暖化問題。しかし、世界のいたる所で地球温暖化の被害をこの目で確認し、その悲惨さを一瞬ではあったが体感できたことが僕には大きな出来事だった。今年はさらに世界をこの体で感じていきたい。エコツーリズムを積極的に行っているアフリカのタンザニア、ヒマラヤの氷河が温暖化により後退し、毎年水害の被害にあっているバングラディシュ、ガラパゴス、そして再びアフガニスタンに訪れてみたい。


2003年1月1日
野口健