ハーハーハー、呼吸がどうにも整わない。それだけじゃない、体にカが入らない。そして猛烈に眠い。一緒に同行している山岳部の同僚、及川幸治にどう頑張っても追いつけない。こんな事は一度もなかった。どうしたんだろうか。そういえぱ、ここ数日間やたらと体が重かったし、めまいもした。及川の後ろ姿を追ううちに、次第に意識が遠のいていく。この程度の山で失敗するわけにはいかない。及川のトレースだけを頼りに、なんとかついていくが、限界であった。そしてついにエルブルースの山頂を視野に入れながら、私の意識はプツリと途切れた。どれだけ時間がたったのだろうか。

11番小屋に向かう途中で休憩 |
所々、及川とガイドのギーナの顔がぼんやりと私をのぞき込んでいるのが分かった。しかし、それもまた夢の中だ。気絶し倒れた事すら私には分からなかった。23才の夏、エルブルースは私に罰を与えたのだった。
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