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ベースキャンプまでの道中にて

ディスコでの1コマ、素朴なチベットは失われつつあるのかもしれない・・・
チベッタンの皆さん1

4月8日、カトマンズからラサへと向かった。ここラサで3泊し、11日にシガツェに移動。ラサではチベット登山協会から毎晩のようにディスコに招待され、約4000メートルで踊り続けるのも大変苦しかったが、これも高所順化活動の一環とすることにしよう(笑)。しかし、ラサにしろシガツェにしろ町中に夜の女性が出歩いていて、ホテルの中にまでその世界の女性が客引きの為に入ってくるのには、正直面食らってしまった。その大半がチベット人ではなく中国人のようだ。素朴なチベットは、もうラサのような都市では見られなくなってしまったのかもしれない。夜の繁華街はキラキラギラギラとしている。誘惑がないわけじゃないが、(また迷いがないわけじゃないが)チョモランマを目前に理性を保つのがこれほどまでに困難であるのかと痛感しながらも、(後ろ髪を引かれながらも)健全に時を過ごした。

そういった忍耐力を鍛えるために、ここよりふさわしいの場所はないと僕は思った。

4月12日にシガールに到着。4200メートルの高度では、多少息が切れる。このシガールの町外れの山上に古い寺がある。いや、正確には“あった”のだ。その破壊され尽くした寺の姿は、文化革命の愚かさ、この地で行なわれた卑劣な行動を私達に伝えていた。

チベット人が一言「中国人がやってきて壊した」と我々に伝えた。

その悲しげな、また無念な表情から中国とチベットとの悲しい歴史の一部分を感じ取ることができた。

2001年4月12日
シガールにて 野口健