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チョモランマのロマン

チョモランマの状況は風が強く6400メートル付近に設定されたABCキャンプではテントすらなかなか張れない状況。

すでにアメリカ隊が8000メートル付近まで達しているようだが、このアメリカ隊、僕らの隊と同じく、目的が山頂ではない。

チョモランマで謎の死を遂げたジョージ・マロリー氏のカメラとアービンの遺体捜索が彼等の目的である。カメラの持ち主、マロリー氏は「そこに山があるから…。」という名言を残したことでも知られる英国の登山家。1999年5月にアメリカ隊がマロリーの遺体を発見し、チョモランマの初登頂者がだれなのかはっきりすると世界中が注目したが、マロリーの装備からは登頂の証拠となるカメラが発見されなかった。カメラが見つかり、仮に登頂していれば山頂で撮影されたフィルムがカメラのなかに眠っているはずだ。1954年にチョモランマに登頂したエドモンド・ヒラリー卿よりも20年前にマロリーとアービンが登頂していたかもしれない。この謎を解こうとアメリカ隊は再び捜索隊を派遣してきた。

我が隊のように山頂を目指さずにあくまでも清掃活動が目的の隊や、マロリーの初登頂説をひも解くための捜索隊等々、チョモランマには山頂を目標としない登山隊が現れ出した。

もはやアルピニスト達の中では、チョモランマの山頂を目指すことのみでは価値観を見出せない状況になってきているのかもしれない。清掃隊にしろマロリーの遺品の捜索隊にしろ通常の登山隊よりも数倍以上も費用がかかるにもかかわらず山頂には背を向けおのおののロマンを追い求めている。

この新たなチョモランマとの接し方を素直に面白いと思う。冒険も時代により次第にその姿を変えている。ただただ山頂を目指すのみの登山も、時の流れとして終焉を迎えるのだろうか?

ジョージ・マロリーについての詳しいページ
毎日新聞

2001年4月16日
ベースキャンプにて 野口健