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「ウガンダ入国〜国際貢献とは〜」



人の熱気に圧倒される

午前3時頃、ウガンダ到着。飛行機を降りたら肌寒くてビックリ。前日のエジプトは最高温度46度まで上がっていたので、ピラミッドではクラクラするほど暑かったが、ウガンダの首都カンパラは1300Mほど。故に夜中は15度付近まで落ちるとのこと。それでは日中はどうか?と、これが初夏または秋口のような爽やかな温かさ。気候に関しては日本を発ってから、エジプト、ウガンダと段々と良くなってきている。



ウガンダを走る



最も心配されていた治安の件ですが、ウガンダはアフリカで5番目に治安がいいとのこと。日本でのイメージとは大きく異なる。ルェエンゾリ峰地域に関してはウガンダの中では比較的に治安が悪くJICA関係者は立ち入らない区域となっているが、山の中は大丈夫ではないかとのこと。武装しているレンジャーを同行させるか、させないか意見が分かれている。NHKの取材班がルェエンゾリ峰を取材した際は爆弾テロが発生した直後とあってボディーガードとしてレンジャーが同行したとのことですが、過剰反応ではないかとの意見もあり。通常はレンジャーなしの登山隊が多いとか。色々と考えましたが、野口隊としては最悪の事態を想定しながら動いた方がいいだろうと、幾分かのコストはかかるもののレンジャー同伴を依頼。



ウガンダ唯一の日本人経営の旅行会社「グリーンリーフツーリスト・クラブ」の和田篤志さんにルェエンゾリ峰登山のアドバイスを頂いた。15年前からウガンダに住んでいる和田さんはおそらく日本人で最もルェエンゾリ峰に登っている方です。



「ルェエンゾリ峰に登りに来る日本人はとても少ないです。私は何度も登っていますが、日本人に限らず外国人も含めて他の登山隊の人たちに会った事がないです。キリマンジャロと違って一般的な山じゃないんですよ。ほとんど毎日が雨ですし、ドロドロの湿地帯を長靴で何日も歩かなければならないし。いつも雲に覆われていてルェエンゾリ峰の全容を見た事は一度もないです。それだけにジャングルは立派ですよ。ところで野口さん。温暖化の影響だと思われますが氷河がどんどんと溶けています。5年前に一つの塊であった氷河が今年行ったら2つに分かれていました。そして薄くなり、辛うじて張り付いている感じです。このままならば5年後には大半の氷河がルェエンゾリ峰からなくなるのではないでしょうか。氷河がなくなってきた影響で登山ルートも大きく変わりました。それと、ズタズタになっているのでクレパスには気をつけてください」と和田さんは話した。



やはりアフリカの山もヒマラヤ同様に気候変動の影響だと思われる氷河の融解問題が生じていたのだ。キリマンジャロの氷河融解はあまりにも有名だが、ルェエンゾリ峰は存在自体があまり知られていないので私にとっては和田さんの情報は新しかった。下山後、以前、和田さんが撮影したルェエンゾリ峰の氷河の写真と、今回我々が撮影した写真を比較してみたい。

そしてJICA(独立行政法人 国際協力機構)のウガンダ事務所に訪問。関徹男所長とお会いしましたが、知らなかった事は日本が一番多くの青年海外協力隊員を派遣しているのがこのウガンダ。約120名とのこと。日本ではあまり知られていないウガンダですが、こうして日本の若者がウガンダのために日々汗を流しているのだ。協力隊員が派遣させるのは地方。時に満足に水道や電気も通っていない僻地であったりする。そこで地元民と数年間生活を共にしながら彼らを教育しながら一緒になって取り組んでいくのだが、これは大変なこと。



JAICAの皆さんと共に

「国際協力」とは言葉は簡単。しかし、最前線の現場に留まり活動を行うのは言葉に表せないほど過酷だろう。日本でJICAの方から「野口さん、最近、海外青年協力隊への申し込みが減りました。一時は国際協力という言葉に憧れや使命感を抱いた多くの若者が募集に殺到したのですが、今は・・・。ボランティア、国際貢献、国際協力という事に関心を示さなくなってきました」と聞いた。



そういえば知り合いの医師から「我々が医学生の時はボランティアなどでアフリカなどの発展途上国によく助手として行きましたが、今の医学生は行きたがらない。だって野口さん、日本国内でも医師は地方に行きたがらないんですよ。命を救うはずの医師が自分たちの利益をより強く追求するようになっていまった」と聞かされていたが、JICAの問題と同じことか。

私はよく青年海外協力隊の隊員の方々とネパール、バングラディシュ、ブータンや中東などで会ってきた事がありましが、皆、目をキラキラさせながら「自分達に求められていることとは」を語っていた。彼らの多くから「使命感」なり「やりがい」を感じていた。日本にもまだこうした若者が残されている




マーケット

私はよく母校(亜細亜大学国際関係学部)で、学生たちには青年海外協力隊などの活動を紹介しつつ、 現場で汗を流すことの重要性を伝えている。確かに調べて論文を書くのもいいでしょう。しかし、その論文を元に実際にアクションを起こさないと、現場で生かされないと、せっかく書いた論文もただの自己満足になってしまう。論文のための論文が多いとか。学生たち含めテーマを持って研究している方々には、ぜひ世界の現場で汗を流し現場の世界から学びアクションを起こしてほしい。



カンパラの町は人、人、人。人の多さと彼らが発するエネルギーに圧倒。なにやら禿鷹のような鳥が多く、聞けば「ハゲコウ」と呼ばれる鳥とのこと。「ハゲたコウノトリ」らしい。



ハゲコウと呼ばれる鳥が多い

それでは、明日からルェエンゾリ峰登山開始です。

2010年8月19日 ウガンダ・カンパラにて 野口健