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カトマンズ考

カトマンズ入りしたが、ここではろくなニュースがない。

マオイストなる反政府組織が勢力を広げ、ネパールのいたる所でテロ活動を展開している。このマオイストなる団体は毛沢東を支持している共産主義者の集団ではあるが、政府に対する強い反感をもち、共産主義活動というよりも反政府活動と表現したほうが正しいのかもしれない。先日、マオイストらの手によって35人の警察官が殺害された。山間部にもマオイストの勢力が広がり、外国人トレッカーや登山隊から活動資金としてお金やカメラ、パソコン、衛星電話等を巻き上げているという。観光収入が頼りでもあるネパールであるのに、今年はこのマオイストの影響で外国人旅行者が激減しているとか…。

3月6日にはマオイストがネパール全国にストライキを呼びかけ、国中が機能がマヒしたと聞いている。町のいたる所で赤旗を振り、そしてビラをまくマオイスト達を多くの人々が恐れ、彼らの指示に従わない場合には生命、財産は保障されていない。これほどまでにマオイストが横暴に振舞われるのも、ネパール政府、および警察の弱体化が要因であり、人々は自分達の生命財産を国がマオイストから守ってくれるなどとまったく期待していない。

エベレストのあるサガルマータ国立公園があるクンブ地方へもこのマオイストの勢力が及びつつあり、今後の展開しだいによっては来年のネパール側からの清掃活動にも影響する可能性がある。安全であったはずのネパールがどうもきな臭くなってきた。非常に心配だ。


そして次に嘆かわしいのがカトマンズの大気汚染である。日本大使館の話ではメキシコシティを追い越して世界でもっとも大気汚染が進行している都市だそうだ。一週間もいると喉の弱い私は咳がとまらなくなり、声が変わる。健康管理がむずかしい都市だ。

大気汚染の原因は乗用車の出す排気ガスが最大の原因。カトマンズでは新車に約300パーセントの税金がかかるため、町を走っていのは中古の中古、さらに中古の20年前の自動車。真っ黒い排気ガスをぶちまけながら、ポンコツで存在自体が罪な自動車が町のいたるところで渋滞している。

ゴミの焼却方法も深刻な問題だ。焼却施設が無く、街中の路地裏でゴミに灯油をかけて燃やしている。もちろんゴミの仕分けなどはしていないので、紙、ビニール、プラスチックも一緒に燃やす。この町のダイオキシンを調べようものならば、恐怖におののいてとてもじゃないがいられなくなるかもしれない。

「チョモランマの清掃もいいがカトマンズも清掃してくれ。」と悲しく訴えたネパール人の顔がカトマンズの灰色の空を見て思い出された。

2001年4月2日
Katmanduのホテルにて 野口 健