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ベースキャンプ周辺を大清掃

 4月25日、ベースキャンプ周辺をシェルパ15人と共に清掃した。一見、綺麗に見えるベースキャンプも氷河の中をくまなく探せば、出てくる出てくる。我々のベースキャンプから歩いて10分ほど、氷河の内側に向かって歩いているときに、シェルパのニマ・オンチュウが
「日本人ゴミ 日本人ゴミ」
と騒ぐ。近づいてふとその辺りを覗けば、一面日本語で書かれたゴミの山。ラーメンの袋を拾い、賞味期限を確認すると昭和59年とある。常識的に考えると、その前年辺りの登山隊か・・・。

 その広範囲に広がる日本隊のゴミに、シェルパ共々、唖然としてしまった。エベレストの清掃活動を初めて3年目になるが、これほど、大量に捨てられている日本隊のゴミは初めてだ。おそらく、その登山隊は、自分らのベースキャンプ付近にゴミ捨て場を作り、我々が発見したのは、そのゴミ捨て場の跡地だろう。貝塚のようなものだ。ゴミの中には漫画本があり、めくると濡れていてすぐにページがちぎれるが、20年前の漫画がそのまま腐らずに残されていた。

  自分らが登頂さえすれば、エベレストの環境などおかまいなしとされて来た時代の産物。環境に対する意識が少なかった時代に行われた環境破壊。しかし、環境が注目されだした今の感覚で、当時の行いをとやかく批判はできない。我々が出来るのは、過去の過ちから何を学ぶかだ。

 他のゴミを探しにいったシェルパらは韓国隊の物と思われるハングル語で書かれたゴミの山を回収してきた。ベースキャンプの周辺だけで約300キロのゴミを回収したが、そのほとんどは、日本語とハングル語で書かれたゴミであった。やはり、アジア人の環境に対する意識の度合いなのか。日本人はマナーが悪いと海外の山岳関係者から指摘されるのも無理もない。韓国隊員の金さんらも、ハングル語のゴミを前に頭を抱えていた。これから、上部キャンプの清掃が始まるが、最初に回収したゴミは我々日本人には辛い結果だった。今後の展開はどうなるのだろうか・・・。

2002年4月25日
ベースキャンプより 野口健