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体調は回復しつつあるのだが・・・


 今日はシシャパンマ登山へ向けての安全祈願。いつもの清掃隊とは違い、たった6人のささやかな儀式。

 ニマ・オンチュウが
「今回の登山はファミリーだ」
と、言ってくれたが、本当にそうだ。ここにいるシェルパ達は永年に渡り僕を支えてくれた仲間だ。

 それこそデンディーは今年で10年目の付き合い。僕が高校生で初めてヒマラヤに挑戦したときからずっと僕のそばで支えてくれている。

 あるときは、英国隊の隊員が僕のシェルパに向かって野蛮な言葉を使い、
「コノヤロー」
と口論になり、その野蛮な英国人が僕の襟首をつかみかかっその瞬間にデンディーが短刀を抜き、その英国人に襲いかかろうとした。必死に止めたが、デンディーは本気で彼を刺そうとしていたのだ。
「ケンはシェルパのために戦ってくれた。そのケンに手をだすやつは許さない!」
と、最後は涙声で訴えていた。そんな事は1度や2度じゃない。

 あるときはこうだ。村のシェルパが酔った勢いで僕にからんできたが、それを知ったデンディーはその酔っ払ったシェルパの家に乗り込み殴りつけただけでなく、家に火を放ってしまった。翌日、その事を知らされ、村長に頼み込んで警察に捕まっていたデンディーを迎えにいったこともあった。

 ニマ・オンチュウもクリシナも97年のチョモランマ挑戦から僕と一緒だ。

 コックのペンバは98年からずっと僕の胃袋を満足させてくれている。ただ、1つ悩みがある。一生懸命作りすぎる。体調が悪くて食欲がなくても、彼はいつでも一流の料理を作ろうと本気で料理している。僕が食べているときはじっと僕の顔色を眺めている。苦しくて食べられないときなど本当に悲しそうな顔をする。これが、たまらなく辛い。そして食後に
「ペンバ、今日も美味しかったよ!」
と、声をかけると目をハートマークにさせながらはにかんで喜んでくれる。彼の愛情に溺れそうになる。贅沢な悩み。僕はこんな素晴らしい仲間と一緒だ。オンチュウが言ったように僕らは
「ファミリー」
なんだな〜

 午後は順化活動の為に裏山に登った。体が軽い。スタスタと足が前にでる。昨日は全身がだるくて気が重かったのがウソのよう。約200m登ったが、苦しくない。帰りは余裕が出てきたのか、高畑隊員に
「日本の政治は一体全体どうなっているんだ!」
と、議論を吹っかけたがこれはあまり反応がなかった・・・。

 スペイン隊の3名がC1から下りてきたが、
「キャンプ2付近が雪崩れでやばい!しばらくABCで待機するよ!」
と我々に言い残してテントの方へと消えていった。明日の朝、体調がよければC1へと向かう予定なのだが・・・。

2002年9月14日
シシャパンマABCにて 野口健