富士山から日本を変える
野口健からのメッセージ
野口健ニュース
野口健からのビデオメッセージ
野口健ブログ
掲示板
プロフィール
フォトギャラリー
七大陸制覇まで
講演会の依頼について
雑誌・テレビ出演情報
書籍・ビデオ
サイトマップ
野口健からのメッセージ

上部での活動開始





 午前6時半BC発。ここ数日間 雪に閉ざされBCにて待機を余儀なくされていただけに筋雲が気にはなったが、キャンプ1までなので出発することにした。野口・李・高畑・谷口・田附・平賀 そして3名のシェルパと共にアイスフォール地帯に突入するが、部分的に氷河の崩壊が起こりルートの変更あり。なぜか前回のようにスピードがでない。高畑隊員も体が重いようで二人して「永くBCで待機しすぎたな」と登れる喜びを感じていた。

 しかし、11時を過ぎたあたりで雲行きが怪しくなり 雪が降り出したと思いきや強風と共に地吹雪となり、視界も悪くなり、クレパス地帯はさらに緊張し、13時 キャンプ1に到着した時にはほっとした。小さいテントの中で濡れた手袋や靴下を乾かしながら少しずつ頭が痛くなるのが分かった。テントの周辺にはいくつものクレパスが走り、その表面には雪が被さり すっかりと落とし穴になっているので 不用意にはテントから出歩けずトイレに行くのも緊張してしまう。前回、カメラマンの平賀隊員の片足がクレパスを踏み抜き落ちかけた。過去にここで亡くなったシェルパもいる。悪天候の中、一人テントの中にいると色々と余計なことを考えてしまうもの。やはり、先発隊の高畑隊員は高所順化が先に済んでいるだけに歩くのが早い。今回の上部キャンプステイでなんとか彼らに追いつきたい。BCの義村隊員からは「天候が崩れる」との情報を頂き、筋雲が気になりながらも我慢できずに出発を決断したことに間違いがなかったのかと反省していた。しかし、谷口隊員の「いや、ケンさん、よかったよ!BCでもう飽き飽きしていたもん!キャンプ2まで頑張って行こう!」と明るく声をかけてくれたのが救いだった。それにしても寒い寒い夜だった。


2003年4月29日
キャンプ1にて 野口健