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「田部井淳子さんインタビュー」

ヒマラヤの現在のゴミの現状、環境問題の現状について?

ここ 10 年ヒマラヤへは来ていませんが、 30 年前のヒマラヤと比べて大きな違いは、 1970 年代は1シーズンに1チームしかヒマラヤは入山の許可が下りなかったので、入る人数が本当に限られていました。ですからあまり環境のことをうるさく考えることはなかったのですけれども、人間がたくさん入ってくるにしたがって、環境がどんどん悪くなってきた気はします。

そういう意味では、登山者のマナーももちろん向上しなければいけないし、ネパール、あるいはパキスタンなり中国なり、ヒマラヤを持っている国の組織や規則をしっかり作って、持ってきたものは持ち帰ることを義務づけることをしなければいけない。その為にリエゾン・オフィサー(連絡官)が各登山隊に与えられているわけですが、リエゾン・オフィサーはそれなりの役目を果たす任務を負っているのではないかと考えています。

マナーの徹底ということが、街でも山でも重要ということですか?

街の生活の中でも、ゴミはきちんと分別して出すとか、燃えるゴミ、資源ゴミ、燃えないゴミ、リサイクルのものとちゃんと分けているわけですから、そういう街の延長線にこの登山はあるわけで、他のスポーツと全く違う点、たとえばサッカーとかテニスとか卓球とかそういったスポーツと全く違うところは、生活がその場にある、というのが登山なんですね。そういう意味では街の感覚の延長線にあるので、街でやっている自分ができること、必ずゴミは持って帰るとか、分別するとか、そういったことをきちんと山でも実行する、それがとても大事だと思います。

清掃登山、環境意識を持った登山の必要性に関して?

(ゴミを)掘り起こさなければいけないという現状は、ひとつの環境を考えるとても大きな啓蒙になってはいると思いますが、やはり今いる現状の中で、各登山隊、各登山者のマナーの向上をきちんと努めていくことも重要だと思います。ですので、突き詰めると、個人のマナー、その隊のマナーになって来る気がします。

ですが、一生懸命回収するという作業が、多くの人にやっぱりゴミを持って帰らないといけないな、という啓蒙になればいいと思います。

美しい山、美しい祖国は重要なもの?

ご覧ください。この美しいマナスルのベースキャンプ、この美しいヒマラヤを。この美しいものを次の世代またその次の世代に引き継いで行く為には、今いる私たちがそういったことを啓蒙していく必要があると思いますし、この美しいヒマラヤを持っている国の人たちがもっと自覚してくれることを願いたいと思います。

そして、富士山はいち県の物ではなく、一個人のものでもなく、日本の宝だと思いますので、日本国民ひとりひとりが大事にする気持ち、誇りにする気持ちがとても大事だと思います。

山に登るということは、美の意識、美意識がとても大事で、自分たちだけのものではない、自然に対する畏敬の念とかがとても大事だと思いますので、そういう意識を次の世代の人にも持ってもらいたいと思います。