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「サマ村、村人と一斉清掃。 5 トン強回収!」

 マナスルから撤収し、サマ村に下りた私達をサマ村の村人が大歓迎して迎え入れてくれた。手作りの日の丸が村のあちらこちらに掲げられていた。 5 月 23 日は朝から村人が広場に集められ、ヘッドラマ(村で一番偉いお坊さん)が村人達に我々のマナスル清掃隊の活動を紹介しながら、「日本人が私達のマナスルの掃除をしてくれた。私達も一緒にやろう!」と呼びかけ、総勢 150 人でサマ村の一斉清掃が始まった。村人の多くがゴミ拾いをしたことがなく、ゴミの説明から始まった。村人が手に持つゴミ袋の中身を覗いたら枯れ草や牛の糞が入っていたので、これはゴミではないと説明。初体験のゴミ拾いに戸惑っていた村人も徐々にゴミの存在を理解し、ゴミ拾いに夢中になってくれた。決められたゴミ捨て場のないサマ村では至る所がゴミだらけ。ガラス瓶や衣服、缶詰から電池などの生活品。

 午後にはサマ村の小学生約 30 人も清掃活動に合流。自分の体ほどのゴミ袋を背負いながらも楽しそうに拾っていた。子供達とゴミを拾いながら、このネパールでも日本で行っている環境学校のような環境教育の普及活動を行わなければならないと感じていた。「環境問題」といった概念のないネパール社会。まずは教育から始めなければならないだろう。

 この日のゴミ回収量はなんと約 5 トン。カトマンズから持ってきた100枚のゴミ袋など瞬時に終わってしまった。なによりも嬉しかったのが、我々がマナスル清掃活動を行ったことで、マナスル山麓の村人が動いてくれたことだ。ヒマラヤ清掃活動に命を賭けてきたが、それだけに終止してしまったら意味がない。ヒマラヤ清掃活動はあくまでシンボル的な活動であり、その活動からさらに広範囲に普及してこそ始めて意味がある。ネパールの村人が始めの第一歩に過ぎないが、それでもアクションを起こしてくれたことがなによりもの嬉しい出来事であり、過酷な条件化で清掃活動を続けてきた我々への褒美でもあった。サマ村は日本隊が初登頂したマナスルの玄関口だ。 50 年前の日本隊もサマ村の方々の協力があってこそ初登頂の快挙を成し遂げられた。そのサマ村に日本人として少しでも恩返しができたかなぁ〜と実に気持ちのいい実りある一日であった。

2006 年5月 23 日 サマ村にて 野口健