国際協力機構(JICA)本部を訪れて
先日、東京・代々木の国際協力機構(JICA)の本部を訪ねた。洪水被害を視察したバングラデシュで、JICAの方々にご案内頂いたのでお礼にあがったのだ。JICAは政府開発援助(ODA)の中で技術協力、無償資金協力を担う組織として、現場レベルでの援助を調整するとともに、現場の声が事業に反映されるように日々多くの隊員が汗を流している。世界155カ国以上で活動を行っているが、一言で援助といっても現場は実に大変だ。
私は外交官だった父の仕事の関係で幼少時代を中近東で過ごした。例えばイエメンでは若い青年海外協力隊員が、ほかに外国人が一人もおらず、水道も電気もない村に住み込んで現地の人々に農業を教えていた。赤痢や黄熱病、マラリアに冒されることも日常茶飯事。
「よくこんな僻地で日本人が一人で頑張れるなぁ〜」と子どもながら驚いた記憶があった。
外交官であった父がよく「過酷な現場で何年間も試行錯誤しながら現地の人々に技術協力していくのは大きな使命感がなければできないこと。日本のODAは協力隊員や調査団の皆さんの情熱によって支えられている」と話していた。
洪水の被害の模様
洪水の被害に苦しむバングラデシュは町中がゴミにあふれ、河川はまるでどぶ川のように臭い。そして伝染病の蔓延。ネパールでもそうだったが、発展途上国では環境問題に対する意識が低い。また廃棄物の処理回収は身分の低い人の仕事として自らが取組もうとしない風潮がある。エベレストで清掃活動を行いながら現地のネパール人に環境問題への取り組みの必要性を伝えなければ意味がないと感じていた。
渡具知愛里(とぐちあいり)さんと現地のこどもたち
何故ならばシェルパの村々やカトマンズはゴミだらけ。昨年からエベレスト山麓の村々の清掃活動を開始したのも地元の人々の意識を変えるためだ。バングラデシュでは協力隊員の渡具知愛里(とぐちあいり)さんが環境教育を普及させようと日々、小学校を回り環境教育を行なっていた。彼女に「苦労が多いでしょう」とたずねたら、力強い眼差しでハッキリと「大変ですが少しでもバングラデシュのためになるのならば幸せです」と答えたのが印象的だった。人から人に伝える。その姿こそが真の国際協力なのだろう。
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