チョモランマ挑戦を終えて
5月17日、1次隊に続き二次隊メンバーの谷口けい、パサンラム、そして4名のシェルパがチョモランマに登頂。これで野口隊は隊員、シェルパの全員(合計8人)がチョモランマに登頂を果たした。
登頂後、ベースキャンプに集合し互いの登頂を称えあった。
一人のけが人もださない完璧な成功に心から満足しています。
谷口けいさん、平賀淳くん、そしてシェルパ達、みな最高のパートナーでした。彼らとザイルを結び合えた幸運に感謝。野口隊を影ながら支えてくださった日本の関係者の方々にも感謝。
そしてホームページ等で応援メッセージを送ってくださった多くの方々も本当にありがとうございました。これでやっと日本に帰れます。
チョモランマへのリベンジは10年越しの夢でした。
チョモランマに対し自信を失っていた時期もありましたが、それでもリベンジをするんだと宣言し、実行して本当に良かった。
やはり失敗はそのままにしておいてはいけない。サハラ砂漠を単身で横断しようと果敢に挑みサハラに燃え尽きた上温湯隆氏が生前
「冒険とは、可能性への信仰である」
との言葉を残していますが、その言葉の意味、深さを改めて噛みしめています。
ネパール側、チベット側と両方からエベレストに登頂し、これでやっと両側がそろって私の中のエベレストが終わりました。色々な葛藤がありましたけれど、やってみるものです。諦めなければ不可能なことはない。
チョモランマ山頂では思わず
「アルピニストとしてやるべきことはやった。もう終わりにしたい」
と口走っていましたが、あれはちょっと早まったかな・・・。訂正があるとするのならば
「ラスト・チョモランマ」
であり
「ラスト・クライミング」
ではありません。今後、いかなる環境の変化が起ころうとも、アルピニストとしての活動は持続していきたい。
下山後、自身の足を撫でながら
「お前さん、よく頑張ってくれたなぁ。酷使しっぱなしで申し訳ない。でもありがとう。ご苦労さん」
と痩せ細った足を褒め労いました。
この10年間、休むことなくひたすら突っ走ってきた。そろそろ一息入れても罰は当たらないかな。充電期間が必要なようです。
次はどのような舞台で勝負するのかノンビリと旅でもしながら考えるのも悪くはない。体を休め気力、体力が回復したら次の夢に進みたい。
2007年5月21日 チョモランマ・BCにて 野口健 |