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「ツバル入り イエレミア首相との会談 」

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  3月7日、5年ぶりに南太平洋にあるツバルに到着。今回の訪問の最大のテーマはツバルのイエレミア首相との会談。ツバルの支援を行っているコスモ石油が私とイエレミア首相との会談をセットしてくださった。

 道路のような一本の滑走路に中古のさらに中古で機体もデコボコになっているオンボロの飛行機が着陸。久しぶりに上空からツバルを眺めたが一目で建物が増えているのが分かった。以前、訪れた時にはほとんど走っていなかった車が渋滞をおこすほどではないにしろ場所によっては車が混雑しているのに驚かされた。

 そして大きく変わったのがツバルに訪問する外国人の多さ。フィジーからツバル行の便には我々を含めると日本人グループが3組。すでにツバル入りしている環境省、そしてJICAの調査団を含めると日本人だけでも40人以上。そして台湾人から韓国人まで、以前、私が訪れた時にはほとんど見かけることのなかった外国人の姿が目立つ。それだけツバルの知名度が上がり、「地球温暖化(海面上昇)で真っ先に沈む島国」として世界から注目を浴びているということなのだろうか。

 確かにこの一年間でも日本の新聞やテレビなどでツバルは大きく取り上げられてきた。新聞にも「ツバル水浸し、温暖化で国が消える」「水没危機の島国「ツバル」急げ!温暖化対策」「国水没、人類への警告」「せり上がる海、生活脅かす」「国水没 なぜ訴え聞かぬ」「環境SOS 傷つく地球 南の島 減る国土」「沈むツバルが温暖化防止策COP13独自に提出」などとセンセーショナルな言葉が連日のように紙面を飾った。

 ツバルは9つの島からなる小さな島国。人口は約1万1千人(人口でいうと世界で2番目に少ない)、面積26平方キロメートル(東京都の品川区と同じぐらい)。英女王を元首とする立憲君主制。平均海抜は2メートル、サンゴ礁に土が堆積してできた島だが最も高い場所でも海抜5メートル。

上空から見たツバル

 ツバル入りしてから早速、アピサイ・イエレミア首相との会談が始まった。フィジーからの便が一時間半遅れでツバルについた為、着陸した時点ですでに予定さえていた会談時間の15分前。慌てて荷物から資料だけを取り出し官邸へ。昨年の「第1回アジア・太平洋水サミット」でイエレミア首相をお見かけしたが直接お話しをするのは今回が初めて。

 

イエレミア首相と

 水サミットでは温室効果ガス主要排出国に対して「自分たちが排出してきた温室効果ガスが原因で、ツバルなどの小国が水没の危機にさらされている。特に京都議定書に参加していないアメリカやオーストラリアには責任ある行動をとってほしい。いつになれば我々の言葉に耳を貸してもらえるのか。我々がおかれている現状は人類への警告だ」と訴えていた。

左から野口・イエレミア首相・鴇田環境室室長

 そしてこの度の会談はイエレミア首相、コスモ石油の鴇田穂積環境室室長、そして私の3人でおこなわれた。「別府での水サミットで私たちの訴えが世界に広まった。水サミットに感謝しています。先日、日本が提案したアメリカ、中国、インドなどすべての国が参加する作業部会の設置について大賛成です。何故ならば温暖化は人類の命がかかっているという認識を全世界が共有することが重要だからだ」「福田首相はとても話しやすかった。とても丁寧で誠実で率直でした。私の訴えに対してすぐに行動に移してくださった。一月には鴨下環境大臣がツバルに、そしてそれから環境省やJICAの調査団がやってきて調査を行ってくれている。特に日本に期待しているのは米国などの京都議定書を批准していない主要排出国に参加を呼びかけることだ」

 そして私がヒマラヤでの被害を説明したらイエレミア首相から「温暖化の影響でヒマラヤの氷河が溶けだし氷河湖が決壊して洪水が起きているとあなたから聞いたが、ヒマラヤもツバル同様に温暖化の被害者だ。あなたは、ツバルやヒマラヤ山域国など被害を受けている国が集まって声を1つにして国際社会に訴えた方がパワーを持つとお話になったが私も同感である」とのお言葉を頂いた。20分ほどの短い会談であったが、イエレミア首相の熱い思いが充分に伝わってきた。

 明日からは大潮に伴って地面から塩水が湧き出している現場を視察する。年々、海面上昇による塩害のため以前は主食であったタロイモが耕作できないなど被害が拡大しているとのこと。4泊5日のツバル滞在で可能な限り被害の状況、そしてツバルの人々が水没の危機をどのように受け止めているのか、知りたい。本当に報道通りなのか、それともまた違う一面があるのか、現場にこなければ見えてこないことがあるはずだ。私はそこが知りたい。

2008年3月7日 ツバルにて(初日)  野口健