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「スピルバーグ監督の北京オリンピック辞退に共感 」

 中国政府は聖火リレーをチョモランマの山頂まで行なうと発表。昨年、春は聖火リレーする中国隊が訓練の為に約300人がチョモランマ登山を行っていた。どうやら今年の5月10日に聖火を山頂に上げなければならないとのこと。チョモランマを相手に登らなければならない中国隊員からしたら登頂の日時を決められてはたまったものじゃないだろう。しかし、政府からの命令となればマスト。
300人つぎ込めば聖火を山頂に上げられるといった発想はまるで203高地。

 そして何よりも驚いたのが北京オリンピックを目指してベースキャンプ周辺まで道路を完全舗装。いまではベースキャンプにまでわんさか観光バスがやってくる。巨大な駐車場に食堂に民宿、お土産屋がずらりと並ぶチョモランマ・ベースキャンプ。北京オリンピックを目指してチョモランマは急激に開発されている。そして信じられない事にベースキャンプではすでに400軒以上のプレハブが建てられているとのこと。

 そして今年の春のチョモランマ登山隊には多くの制限が課せられることとなった。一隊に二カ国以上の国籍の人がいてはならない、そして写真やビデオの撮影の制約、
インターネットなどの通信の制約などなど。この春にチョモランマでの清掃活動を予定していたが、チョモランマにゴミがあることを公にしない事、ゴミの写真、映像の撮影の禁止など多くの制約があるとの連絡を頂いた。昨年春も聖火リレー隊から「めでたいオリンピック前にチョモランマが汚れている事を公にするのは不謹慎だ。活動を止めて欲しい」などと注文がついたが、もちろん受け入れるわけにはいかなかった。今春に予定していたチョモランマ(チベット側)清掃は断念し、エベレストのネパール側での清掃活動になりました。
 
  2006年10月13日、ヒマラヤの峠をチベット側からネパール側に巡礼の為に向かっているチベット人を中国警備当局が射殺。少なくとも二人が射殺、そして子どもを含む数十人が行方不明となった。その様子をたまたま近くにいた外国人登山家がビデオで撮影しインターネットによって世界に配信され公となった(ちなみにso−netブログのユイガドクソンにて「中国人民軍のチベット人射殺事件映像」で外国人登山家がリポートした映像が確認できます)。もし外国人登山家が射殺現場に遭遇し撮影しなければその虐殺事件は国際社会に知られる事がなかっただろう。

 それ以後チョモランマ・ベースキャンプでは公安の目が光るようになった。昨年もアメリカ人がチョモランマ・ベースキャンプで「チベット開放」と紙に書いて掲げたらその場で逮捕、連行されてしまった。言論の自由すら許されていない、またチベット人虐殺のような非人道的な行為が繰り返されている中国、そして環境面においてもチョモランマを北京オリンピックの聖火リレーの舞台として乱開発をしている中国でのオリンピック開催に私は大きな疑問を感じています。
 
  昨日の報道によれば映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏が北京オリンピックのアーティスティク・アドバイザーを辞退したとの事。報道によれば中国政府がスーダンのダルフールでの集団虐殺を終結させる為に尽力を注がないことに抗議しての決断だとのこと。
  2003年から始まったダルフール紛争では20万人以上が死亡し、250万人が住みかを失った。中国政府はスーダンが産出する石油の三分の二を輸入し代わりに武器を供給している。

 4年にわたるダルフール紛争では、中国がスーダンの石油利権の為に(パキスタンも)国際社会と対立しながらスーダン政府を支持し続け、拒否権を持つ国連安全保障理事会の常任理事国として、欧米の制裁の動きを阻止してきたとのこと。

 スピルバーグ氏は「スーダンの状況は悪化している。私は再三、中国政府にダルフールに平和と秩序をもたらすようにお願いしてきた。私はオリンピックに時間とエネルギーを費やすより、ダルフールで行なわれているような、言うに堪えないほど非人道的な事態を終わらせる事に努力したいと思う」とコメントを発表。私はこのメッセージに大いに共感しています。一方的に中国政府を批判するつもりはないですが、せめてオリンピック開催をきっかけに中国が変わることを期待しています。その為には国際社会の厳しい目が必要でしょう。