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ダーウィンレイクとふじみ湖





 イサベラ島にはダーウィンレイクという塩湖がある。このダーウィンレイクを目にしたときに緑に透き通った美しい湖水に驚いたが、どこかで見たことがあるような景色だなぁ〜と、懐かしく感じた。
「あっ そうだ!ふじみ湖だ!」
それは茨城県の笠間市にある通称「ふじみ湖」。昨年の7月に初めて「ふじみ湖」と出合った。エベレストで清掃活動を行なっているときに「ふじみ湖」の地元の方々から「カキコミ広場」に「ふじみ湖の水を抜いてそこに産業廃棄物などの最終処分場ができてしまう」とのメッセージが届いた。エベレストから帰国後、さっそく訪れた「ふじみ湖」はエメラルドグリーンの美しい湧水湖だった。関東にもこんなに素敵な自然が残されていたんだと、感慨深いものがあった。しかし、昨年の秋から水抜き作業が始まった。笠間市が一日、約200トンもの水が湧くこの湧水湖の水を抜き、産業廃棄物などで埋め立てようとしているのだが、ドイツでもそうであるように、多くの先進国では水源地やその周辺にゴミを埋め立てるのを法的に禁じている。この春、京都で「水の環境フォーラム」が開かれ、深刻化している世界の水質汚染の解決を世界の共通テーマとして取り組もうとしている矢先に議長国である日本で美しい湧水湖が殺されかけていたのだ。

 確かに産業廃棄物などの最終処分所は必要だ。しかし、何故、あの貴重な湧水湖を埋め立ててまでも、その場にこだわるのだろうか、何故 ここなんだ!と実際に「ふじみ湖」を訪れた人ならば誰しもが疑問を感じるだろう。しかし、茨城県や笠間市などの行政サイドからは明確な説明がないまま工事だけが着々と進んでいる。莫大な公共事業による利権がからんでいるのだろうけれど、本当にそれでいいのだろうか。地元新聞では業者と行政側との談合話が連日のように紙面を飾っていたが、その度に人間の愚かな行為に腹が立ち悲しくなった。日本の常識がもはや世界の非常識となっている。ダーウィンレイクを眺めながら すでに変わり果てたであろう「ふじみ湖」の姿を思い胸が痛んだ。


ふじみ湖(2002年7月撮影)
2003年6月27日
野口健