今日の我にあすは勝つ
悔しい。
このシシャパンマを断念してから、悔しくて寝られない夜が続いている。これだけ体が疲れているにも関わらず寝られないことに驚き、また正直、嬉しい。自分にも、まだ負けん気が残されていたことがなによりも嬉しい。
このシシャパンマ挑戦は、最初から自分の登頂がイメージできないでいた。戦う前から敗北が決まっていたのだ。私の登山歴の中には、いくつも敗退は記されているが、その中に1つだけ「敗北」という文字が過去にもあった。1997年のチョモランマ挑戦だが、ついに2つ目の「敗北」が私の中で記された。
しかし、このシシャパンマ敗北は大きな意味がある。いままで、直視しようとせず、何年間もの間、蓋を被せてきたある思いがこのシシャパンマ敗北によって吹き飛んだ。それは、もう避けては通れない道。随分と時間がかかったが、やっと自身を見つめ直すことができた。
自分の全てを賭けた大きな戦いが始まろうとしている。思い出すな〜97年の5月下旬、チョモランマ敗北直後、やはりこのカトマンズで一大決心したあの夜と同じだ。もう1度、あの頃の自分に戻れる幸運さに感謝したい。
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