2007年6月アーカイブ

定着したクールビズ

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 2005年6月1日、日本の夏は変わった。地球温暖化防止キャンペーンとして「クールビズ」がスタート。仕掛け人は小池百合子さん(当時環境大臣)。小池さんは一緒に富士山で清掃活動を行ってきた私の環境仲間だ。その小池さんがクールビズを提案し、仕込み、そして実施するまで約1年をかけたが、私は正直、人々に浸透するのか疑問であった。何故なら以前、スーツを半袖にした省エネ対策を呼びかける運動があったが、世間はその見慣れない姿に関心を示さなかった。

 登山家になりスポンサー活動で企業を回っていた時に登山家だからノータイでもいいだろうと着けずに面会したら「学生だからといってネクタイも付けずに挨拶に来るなんて非常識だ」と叱られた。しかし今ではどうだろうか。先日、エベレストから戻りスポンサー企業へネクタイ姿でご報告に出かけたら相手側はみなノータイ姿で「野口さん、外していいですよ。外すと楽ですよ」と言われてしまったのだから革命的変化である。

 後から知った事だがクールビズがスタートした直後に小池さんはパリでエルメスやクリスチャン・ディオールといった世界の一流ブランド店を訪問していた。省エネルックスはお世辞にもお洒落ではなかった。そこで小池さんはクールビズに世界のブランド力を加える事で「ドレス・アップ」を狙ったのだ。世界のブランド相手に「日本ではクールビズの名の下に大キャンペーンをする」「東京はアジアにおけるファッションの発信基地」と環境大臣自らがハッパをかけたのだ。

 そしてクールビズは単にファッションを変えただけではなく、地球温暖化対策に多くの人々が共感し関心を抱くきっかけとなった。ネクタイを外し襟元を開放すれば体感温度で2度涼しく感じると科学的研究結果がだされた。その結果、2005年、オフィスの冷房を2度ほど高めに設定した企業は32・7%となり、CO2の排出量はひと夏で46万トン減らした。そして2006年はさらにその運動が広がり3ヶ月間(クールビズの期間中)で114万トンのCO2削減にまでなった。これは250万世帯の一か月分のCO2排出量と同じだ。

 環境保護は経済の足を引っ張るといった意見が経済界からよく聞こえてくるが、クールビズはアパレル業界を初め経済効果が大きかった。これこそ小池さんが目指した21世紀型の「環境と経済の融合」の姿なのだろう。

帰国して間もなく一月

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 久々にブログを書きます。早く書かなきゃと思いつつブログの夏休みをしてしまいました。ごめんなさい。 帰国して断食生活で休養をとり体調も少しづつ安定してきましたが、先週は夜中に突然、体調を崩し病院に運ばれました。原因は今ひとつ分からなかったが、たまたま事務所にいた平賀淳くんに助けられました。チョモランマで助けてもらっていたのに、東京でも助けられました。もう助けられっぱなし。もし淳くんがいなかったら大変でした。
 二ヶ月ぶりに仕事もスタートしました。講演会やテレビのロケ、また新聞、雑誌等の取材、そして行政がらみの会議等々、いつもの生活に戻りました。あの生き死にを賭けて闘っていたチョモランマがまるでなかったように。ただ、時々、チョモランマの下山中のあの光景が現れては目が覚めてしまう。あれから一月以上が経ったんだなぁ~。頭を切り替えないと・・・。

 今日は私がアルピニストとしてここまでこれた最大の恩人、ソニーの大木充さんがソニーをご卒業(退職)され、パーティが行なわれました。大木さんはMXテレビの社長に就任されます。私がまったくの無名時代から大木さんのお力でソニーさんから資金的なバックアップを受けていました。エベレストに二回続けて登れず他のスポンサーが下りてしまった時にも、大木さんは「また挑戦すればいい。野口君は死んでいないんだから、失敗したと自分を責める必要はない。私達はいままで通り応援するから」と、私は感謝のあまり涙を流していた。これからも大木さんの哲学である「オープン・ユア・アイ」「オープン・ユア・マインド」を私なりにしっかりと受け継いでいきたい。大木充さん、本当にありがとうございました。

 明日は四日市の海岸で清掃活動を行います。雨かなぁ~ 雨降りは嫌だけれど、水不足を思えば降ってほしい。明日からはちゃんとブログを書きますので、よろしくお願いします!それでは、お休みなさい。

噂について

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 断食生活を終え東京に戻ってきました。明日から仕事初め。明日は北海道で講演です。大好きな北海道。とても楽しみ。それはそうと、エベレストにいる時から一部の報道で今回の選挙について私の名前があがっていたようですが、それはありません。私は現場の人間ですから。それに、しばらくは充電期間にしたい。それにまだまだ勉強しなければならない。体調回復までいま少し時間かかりそうですし。エベレスト清掃を終えたこれからは富士山、そして温暖化の影響で溶けているヒマラヤの氷河対策を行なっていきたい。来年春にはマナスル峰の山頂を狙う予定です。

環境省記者会見

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野口健記者会見

野口健記者会見

エベレスト登頂

この度、「富士山・エベレスト同時清掃及びエベレスト登頂」を目的として活動をしてまいりました。3月20日(火)に日本を出発し、24日(土)エベレス トの玄関口であるルクラ村に入りました。4月5日(木)ラサ到着。10日(火)エベレスト・ベースキャンプ入り。19日(木)アドバンスベースキャンプ (ABC6,400M)に到着し、23日(金)安全祈願を行いました。26日(木)ノースコル(7,050M)にて高度順化。30日一端ベースキャンプに 戻り、5月9日(水)再度ベースキャンプを出発しチャンツェベースキャンプ(ABCとベースキャンプの間)入り。10日(木)ABC着。12日ABCを出 発しC1ノースコル(7,050m)到着。13日C1を出発しC2(7,600m)到着。14日C2を出発しC3(8,300m)到着。日本時間15日 AM1時C3を出発し、日本時間AM11時15分8848mのエベレスト登頂を果しました。今回の挑戦は1997年に初めてエベレスト(中国側)に挑み、 惜しくも登頂を断念した場所からの再挑戦でした。1999年にはエベレスト(ネパール側)から挑戦し登頂を果すと同時に、7大陸最高峰世界最小年記録を樹 立いたしました。(1999年当時)今回の登頂で、中国・ネパール両側からエベレスト登頂を果した8人目の日本人記録となりました。

野口健記者会見

野口健記者会見

 

清掃登山

97年の初挑戦中に欧米の登山隊から、「エベレストをMt.FUJIにするのか?」と言われたのがきっかけで7大陸最高峰を制覇した後に、清掃登山をする 事で私の大好きな山々に恩返しが出来ればと考えました。2000年からエベレスト清掃登山を開始し今回で6度目となりました。

2006年5月には、日本人が一番かかわりの深い山であり、日本・ネパール国交樹立50周年記念事業の一環としてマナスル清掃登山を実施いたしまし た。マナスルでの清掃登山後、麓のサマ村の人々が集まり村の一斉清掃を始めた事は、驚きではありましたが、同時に私の行なった行動が地元の人たちに対して 少しでも良い影響を与えることができたことを大変嬉しく思っています。

先月の4月13日(金)に清掃登山を開始し、15日(日)には富士山・エベレスト同時清掃を開催いたしました。日本側は女優の若村麻由美さんを隊長とし参加者160名トラック5台分、約3トンのゴミを回収いたしました。

一方のエベレスト隊はベースキャンプにて約50kg、19日(木)アドバンスベースキャンプにて120kg、期間中の総計は500kgでした。前回 までの平均が約1.5tぐらいでしたので、確実にゴミが減ってきたのだと実感いたしました。ゴミ問題を含めた環境問題は一人ひとりが出来る事を実践する事 が大切だと思います。そして、ゴミの排出量を削減する事は、循環型社会づくりに不可欠であるばかりでなく、ゴミを減らすことは地球の温暖化防止にもつなが るものであると私は考えています。

野口健記者会見

コイララ首相と

 

コイララ首相との会談及びアジア太平洋水サミット

5月28日(月)コイララ首相にも会わせて頂き今回の清掃登山の報告及び、エベレストが抱える環境問題や私の目から見たネパールの環境問題について意見交換をさせて頂きました。

その際、私が運営委員を務めている、「第1回アジア・太平洋水サミット」への出席を依頼するとともに、サミットでは現在ネパールやブータン等が抱え ている氷河湖問題を議題として取り上げ議論をしたい旨、お伝えをさせて頂きました。コイララ首相より水問題は非常に重要な分野であり、水サミットに対しネ パール政府として出席をする旨、お言葉を賜りました。

この「第1回アジア・太平洋水サミット」は、昨年3月21日に橋本龍太郎元総理がメキシコで行なわれた第4回世界水フォーラムで発案をされました。 橋本元総理は残念ながら昨年の7月にご逝去されましたが、元総理の発案に私も賛同をし、委員を務めさせて頂いております。サミットは本年12月3日・4日 に、森元総理を運営委員長として大分県にて開催される予定となっており、皇太子殿下、安部総理もご出席予定との報告を受けております。詳しくは、お手元の 資料をご覧下さい。

 

昨今の状況

さて、昨今、世界各地で異常気象が発生しております。私が行っていたネパール・カトマンズ市内では1944年1月以来63年ぶりに降雪がありました。ま た、登頂を目指したエベレストベースキャンプやアドバンスベースキャンプでも雨やミゾレが降っていました。降るはずのない場所で雪が降り、降るはずの場所 で雪が降らない。このような事は世界中でおきております。2003年フランスでは猛暑のあまり1万人以上もの死者を出し、他のEU諸国でも千人を超す犠牲 者をだしました。2004年にはインド洋大津波等がおこり、2005年アメリカではハリケーンカトリーナ等の大災害、そして2006年にはオーストラリア での大干ばつ等もありました。このように、世界各地で起こっている異常気象等による影響ですが、過去最大・過去最高気温等、記録更新が毎年繰り返されてお ります。もはや異常が異常ではない時代が来ているのです。そして、この異常気象の原因の一つとして近年、地球温暖化の影響がとりだたされはじめました。

私が、生まれる前年1972年「成長の限界」と題された「人類危機レポート」がローマクラブから発表されました。レポートでは今後起こりうるであろう危機を下記のように例えました。
「ある池に蓮が生えている。この蓮は一日で2倍に成長する。30日たつと池を全て覆い、池の魚は全滅してしまうのだが、29日目にはまだ水面が半分は残っ ているから安心だと構えている。実のところ、魚の命はあと一日しかない。人類も既に29日目を迎えているかもしれないのである。」

環境問題は目に見えて結果が出るものではありません。今日やったからといって、明日顕著に結果が出るわけでもありません。しかし、我々は自分の子や孫の世代まで責任を持たなければならない義務があります。

コイララ首相と

コイララ首相と

氷河湖に関して

UNDP及びICIMOD(International Centre for Integrated Mountain Developmentの略称で和名は国際総合山岳開発センター)の報告では2001年当時の記録としてネパールには現在3,252の氷河と2,323の 氷河湖があり、5年から10年の間に20以上の氷河湖が決壊の恐れがあると報告しています。その中でもツォーロルパ・イムジャ・ローワーバルン・ツラギの 4氷河湖が特に決壊の危険性があると報告をしております。氷河湖は決壊をすると、洪水が起こり多数の死者を出す恐れがあるのです。氷河の融解が加速してい る背景にはこのような地球温暖化の影響をヒマラヤ山脈も受けている証拠なのです。

報道機関によれば2035年には氷河が無くなる恐れがあるとも報告しています。氷河が無くなれば、その溶け水によって供給されていた水資源も枯渇す る恐れがあり、漁場や野生生物そしてネパールの国民の飲料水の供給も危機にさらされる恐れがあるのです。そして、ヒマラヤの雪解け水の減少及び枯渇はネ パールの国民のみならず、下流国にも影響を及ぼすのです。自然災害は何時発生するかわかりません。そして、地震等の突発的な自然災害により、氷河湖の決壊 等、二次災害を引き起こす可能性も秘めているのです。

先日のベルギー・ブリュッセルで行なわれたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第二作業部会においても、「氷河湖の増加と拡大」が問題視され ておりました。それを受け私はイムジャ氷河を訪れました。このイムジャ(IMJA)氷河湖は湖面標高5010mのエベレスト南方にあります。イムジャ氷河 末端に灰色の水溜まりが拡大し始めたのは1960年頃。

現在長さ1km以上、深さ90mにも達し、2800万トンの水を湛えるまでに成長しているのです。もしこの氷河湖が決壊すれば、チュクン村・ディン ボチェ村・パンボチェ村、タンボチェ村などが大打撃を受けると予想されます。村人、そしてトレッカーを含めればその犠牲は計り知れません。実際にイムジャ 氷河湖に向かう道中で村のシェルパ達が
「イムジャ氷河湖はどうなるのか?もし決壊すれば私達は全てを失う。ヒマラヤの他の地方で氷河湖が壊れ、村々が洪水に流されたと聞いたことがある。ここは大丈夫だろうか?」
と何度も聞かれました。それだけ地元民にとって氷河湖の決壊は恐怖なのです。

ヨーロッパアルプスでは、堰堤(えんてい)を設けたり、トンネルを掘って排水していますが、ヒマラヤはヨーロッパに比べ岩盤が軟らかく、また標高が 高く工事が困難なため、これらの対策が容易に実施できるとは限りません。また、いくつかの氷河湖では警報装置の設置をしていますが、警報装置はあくまでも 応急対応であってこれは恒久的な対応ではありません。

最後に

アジア・太平洋地域では、洪水等の水関連災害による2001-2005年の年間平均死者数は約6万人で、これは世界の水関連災害死者数の80%にもなります。アジア・太平洋地域がいかに水災害の被害を受けやすいかを物語っています。

オセアニア地方にあるツバルは地球温暖化の影響による海面上昇を訴え、各国の注目を浴び支援を求めました。ヒマラヤ山脈は人間に例えると頭です。そ の頭が狂えば世界中がおかしくなる可能性を秘めています。アジア・太平洋水サミットにて、この氷河の融解及び氷河湖問題について、現状を訴えると共に、 ADB(アジア開発銀行)・JBIC(国際協力銀行)・JICA(国際協力機構)等の機関と早急に協議し連携を取りながら、この危機的状況を回避すべきで あると私は考えます。

現地記者会見

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野口健記者会見

エベレスト登頂

この度、「富士山・エベレスト同時清掃及びエベレスト登頂」を目的として活動をしてまいりました。5月15日(火)AM8時にエベレスト登頂を果しました。今回の挑戦は1997年に初めてエベレスト(中国側)に挑み、惜しくも登頂を断念した場所からの再挑戦でした。

1999年にはエベレスト(ネパール側)から挑戦し登頂を果すと同時に、7大陸最高峰世界最小年記録を樹立いたしました。(1999年当時)今回の登頂で、中国・ネパール両側からエベレスト登頂を果した8人目の日本人記録となりました。

野口健記者会見

清掃登山

97年の初挑戦中に欧米の登山隊から、「エベレストをMt.FUJIにするのか?」と言われたのがきっかけで7大陸最高峰を制覇した後に、清掃登山をする事で私の大好きな山々に恩返しが出来ればと考えました。

2000年からエベレスト清掃登山を開始し、今回で6度目。2006年5月には、日本人が一番かかわりの深い山であり、昨年は日本・ネパール国交樹立50周年の記念事業としてマナスル清掃登山を実施いたしました。

マナスルでの清掃登山後、サマ村の人々から大歓迎を受けました。そして、清掃登山に影響され、村人達があつまり村の一斉清掃を始めました。私の行 なった行動が、地元の人たちに対して少しでも良い影響を与えることができたことを大変嬉しく思っています。今回も清掃登山を実施しましたが、10年前に比 べ格段ゴミが減っていました。

一人ひとりが出来る事を実践する事が大切だと思います。そして、ゴミの排出量を削減する事は、循環型社会づくりに不可欠であるばかりでなく、ゴミを減らすことは地球の温暖化防止にもつながるものであると私は考えています。

野口健記者会見

野口健記者会見

コイララ首相との会談及びアジア太平洋水サミット

先ほど、コイララ首相にも会わせて頂き今回の清掃登山の報告及び、エベレストが抱える環境問題や私の目から見たネパールの環境問題について意見交換をさせて頂きました。

その際、私が運営委員を務めている、「第1回アジア・太平洋水サミット」への出席を依頼するとともに、サミットでは現在ネパールやブータン等が抱えている氷河湖問題をサミットの議題として取り上げ議論をしたい旨、お伝えをさせて頂きました。

この「第1回アジア・太平洋水サミット」は、昨年3月21日に橋本龍太郎元総理がメキシコで行なわれた第4回世界水フォーラムで発案をされました。 橋本元総理は残念ながら昨年の7月にご逝去されましたが、ネパールを第二の故郷と愛されていた元総理の発案に私も賛同をし委員を務めさせて頂きました。サ ミットは本年12月3日・4日に、森元総理を運営委員長として日本の大分県にて開催される予定です。詳しくは、お手元の資料をご覧下さい。

野口健記者会見

昨今の状況

さて、昨今、世界各地で異常気象が発生しております。ここネパール・カトマンズでは1944年1月以来63年ぶりに降雪があったのは皆さんの記憶にも新しいことだと思います。

私が登頂を目指したエベレストベースキャンプでも雨が降っていました。降るはずのない場所で雪が降り、降るはずの場所で雪が降らない。このような事は私の母国、日本でもおきています。例えば、東京で初雪が見られるのは早ければ12月頃です。

しかし今年は3月中旬まで雪が降りませんでした。また、寒くなったかと思えば、4月には真夏日(30℃以上)を経験しました。2003年フランスでは猛暑のあまり1万人以上もの死者を出し、他のEU諸国でも千人を超す犠牲者をだしました。

2004年にはインド洋大津波等がおこり、2005年アメリカではハリケーンカトリーナ等の被害もありました。そして2006年にはオーストラリア での大干ばつ等もありました。このように、世界各地で起こっている異常気象ですが、過去最大・過去最高気温等、記録更新が毎年繰り返されております。もは や異常が異常ではない時代が来ているのです。そして、この異常気象の原因の一つとして近年、地球温暖化の影響がとりだたされはじめました。

私が、生まれる前年1972年「成長の限界」と題された「人類危機レポート」がローマクラブから発表されました。レポートでは今後起こりうるであろう危機を下記のように例えました。

「ある池に蓮が生えている。この蓮は一日で2倍に成長する。30日たつと池を全て覆い、池の魚は全滅してしまうのだが、29日目にはまだ水面が半分は残っ ているから安心だと構えている。実のところ、魚の命はあと一日しかない。人類も既に29日目を迎えているかもしれないのである。」

環境問題は目に見えて結果が出るものではありません。今日やったからといって、明日顕著に結果が出るわけでもありません。しかし、我々は自分の子や孫の世代まで責任を持たなければならない義務があります。

 

氷河湖に関して

野口健記者会見

UNDP及びICIMODの報告では2001年当時の記録としてネパールには現在3,252の氷河と2,323の氷河湖があり、5年から10年の間に20以上の氷河湖が決壊の恐れがあると報告しています。

その中でもツォーロルパ・イムジャ・ローワーバルン・ツラギの4氷河湖が特に決壊の危険性があると報告をしております。氷河湖は決壊をすると、洪水 が起こり多数の死者を出す恐れがあるのです。氷河の融解が加速している背景にはこのような地球温暖化の影響をヒマラヤ山脈も受けている証拠なのです。

報道機関によれば2035年には氷河が無くなる恐れがあるとも報告しています。氷河が無くなれば、その溶け水によって供給されていた水資源も枯渇す る恐れがあり、漁場や野生生物そしてネパールの国民の飲料水の供給も危機にさらされる恐れがあるのです。そして、ヒマラヤの雪解け水の減少及び枯渇はネ パールの国民のみならず、下流国にも影響を及ぼすのです。自然災害は何時発生するかわかりません。そして、地震等の突発的な自然災害により、氷河湖の決壊 等、二次災害を引き起こす可能性も秘めているのです。

先日のベルギー・ブリュッセルで行なわれたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第二作業部会においても、「氷河湖の増加と拡大」が問題視されておりました。

それを受け私はイムジャ氷河を訪れました。このイムジャ(IMJA)氷河湖は湖面標高5010mのエベレスト南方にあります。イムジャ氷河末端に灰色の水 溜まりが拡大し始めたのは1960年頃。現在長さ1km以上、深さ90mにも達し、2800万トンの水を湛えるまでに成長しているのです。もしこの氷河湖 が決壊すれば、チュクン村・ディンボチェ村・パンボチェ村、タンボチェ村などが大打撃を受けると予想されます。村人、そしてトレッカーを含めればその犠牲 は計り知れません。実際にイムジャ氷河湖に向かう道中で村のシェルパ達が「イムジャ氷河湖はどうなるのか?もし決壊すれば私達は全てを失う。

ヒマラヤの他の地方で氷河湖が壊れ、村々が洪水に流されたと聞いたことがある。ここは大丈夫だろうか?」と何度も聞かれました。それだけ地元民にとって氷河湖の決壊は恐怖なのです。

ヨーロッパアルプスでは、堰堤(えんてい)を設けたり、トンネルを掘って排水していますが、ヒマラヤはヨーロッパに比べ岩盤が軟らかく、また標高が高いので工事も困難なため、これらの対策が容易に実施できるとは限りません。

また、いくつかの氷河湖では警報装置の設置をしていますが、ネパールにおける警報装置はあくまでも応急対応であってこれは恒久的な対応ではありません。

ネパール政府は2005年1月に神戸で開かれた国連防災会議において宣言された「兵庫宣言」に基づいて、国際機関等と早急に協議し、この危機的状況を回避すべきであると私は考えます。(兵庫宣言の全容は別紙をご覧下さい)

野口健記者会見

 

野口健記者会見

提言

アジア・太平洋地域では、洪水等の水関連災害による2001-2005年の年間平均死者数は約6万人で、これは世界の水関連災害死者数の80%にもなります。

アジア・太平洋地域がいかに水災害の被害を受けやすいかを物語っています。ネパール政府は、アジア・太平洋水サミットにて、この氷河の融解及び氷河 湖問題について、現状を訴えると共に、現在ネパール国民が置かれている深刻な立場をADB(アジア開発銀行)・JBIC(国際協力銀行)・JICA(国際 協力機構)等の援助機関と早急に協議し連携を取りながら、この危機的状況を回避すべきであると私は考えます。

オセアニア地方にあるツバルは地球温暖化の影響による海面上昇を訴え、各国の注目を浴び支援を求めました。ヒマラヤ山脈は人間に例えると頭です。その頭が狂えば世界中がおかしくなる可能性を秘めています。

だからこそ、ネパール政府は来年度からはじまる「京都議定書の約束期間(2008年~2012年」及び、2013年度からのネクスト京都議定書に向 けて、排出権取引等による各国誘致や企業等の投資を積極的に行なえる環境整備を行なうと共に、安定した供給が得られるシステムを構築する必要があるのでは ないでしょうか。

野口健記者会見

 

 

エベレスト登頂を果たし、これでやっと10年間にも及んだ世界最高峰での闘いに終止符を打つ事ができた。

私の次なる挑戦は氷河対策だ。以前、この連載でも紹介したように地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河が急激に融解し、流れ出した大量の水が氷河湖を破 壊し各地で洪水を引き起こしている。国連開発計画によると2001年当時の記録としてネパールには3,252の氷河と2,323の氷河湖があり、5年から 10年の間に20以上の氷河湖が決壊の恐れがあると報告した。

コイララ首相と

 

エベレスト挑戦前に訪れたイムジャ氷河湖も1960年ごろから拡大し現在では長さ1キロ以上、水深90mにも達し、2800万トンの水を貯えるとこ ろまで成長している。決壊すればいくつもの村々が流され多くの人命が確実に失われる。温暖化による海面上昇の被害は広く知れ渡るようになったが、ヒマラヤ の氷河にまで被害をもたらしている事実は意外と知られていない。

 

 12月に大分で「第一回アジア・太平洋水サミット」が開催される。このアジア・太平洋水サミットは昨年の3月にメキシコで行なわれた第4回世界水フォーラムにて龍(橋本龍太郎元総理)さんが打ち出したものだ。その関係で私も運営委員を務めさせていただいている。

そのサミットにアジア・太平洋諸国から元首級をお招きして水災害等の対応策について議論をする。何故ならばアジア・太平洋地域は2001-2005 年の年平均死者数は約6万人で、これは世界の水関連災害死者数の80%を占める深刻な水災害多発地域だからだ。そしてサミットの議題の一つとして融解する 氷河湖問題を取り上げたい。

そこでエベレストから下山し、すぐにネパールのコイララ首相と会談をさせて頂サミットへの出席のご依頼もさせて頂いた。

コイララ首相と

コイララ首相から
「ネパールの氷河問題等は深刻であり、今後更なる水災害等により、ネパール国内だけでなく他の流域国まで被害を引き起こす可能性がある事を各国機関に伝えなければならない」
とネパール政府として出席する旨お言葉を頂いた。

 氷河湖対策はエベレスト清掃活動よりも遥かに規模が大きく私個人の取り組みではとても解決できない。専門家に調査して頂き、また決壊しそうな氷河 湖の湖水を抜かなければならない。そこでアジア開発銀行、国際協力銀行、国際協力機構といった機関にも協力を呼びかけヒマラヤから世界に地球温暖化を訴え たい。

コイララ首相と

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