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産経新聞 書評倶楽部に掲載されました

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2010/06/06

産経新聞 書評倶楽部に掲載されました

産経新聞

年月日 2010年6月 5日

産経新聞 書評倶楽部 野口健の書評が掲載されました。

「生死刻々」石原慎太郎著
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■「死」で浮かび上がる「生」
 私は登山家という職業柄、「生死」について意識することが多い。本書は、まさしくこの「生死」をモチーフとした掌短編集である。多様な登場人物を通じて 様々な「死」が描かれ、その「死」によって鮮やかに浮かび上がる「生」のコントラストに奇妙な親近感ともいうべき感情を抱きながらページを手繰った。
 
中でも12の掌編により構成されている『わが人生の時の生と死』は、著者の類(たぐい)まれなる才能が如実にあぶりだされているように感じた。たとえば、 動物園の若い飼育係の女性の死を描いた『ライオンと若い女』では、10ページという極めて短い文章で、ひとりの女性の人生における最期の時を、ミステリア スに描き、読後には、そっと読み手に深い悲しみと愛情の余韻を残していく。

 また、訪れる客に「死相」をみる『死にいく者たち』においては、死を決めた人間の纏(まと)う独特の雰囲気が、3ページという極少の文字の世界に鮮やかに描き出されている。
 
そして、これは実は私自身の人生がモデルとなっているのだが、『エベレスト』というタイトルの掌編が収録されている。以前、著者からお電話をいただき、エ ベレスト登山に関してのいくつかの質問を受けた。当時は、まさか私をモデルにした小説を書かれているとは思いもしなかったため、今、本書を手にとり、ふた つの意味で驚いている。ひとつは私がモデルになっていること、もうひとつは、著者の想像力についてである。

 『エベレスト』では、わずか16ページでエベレスト登山の全貌(ぜんぼう)が描かれているが、エベレスト登山の全体像やルートごとの情景、シェルパや他 の隊員との人間関係、そして刻々と変化する登山家の精神状態、その全(すべ)てにおいて、著者がエベレスト登山を体験されたかのようなリアリティーがあ り、作家の想像力の凄(すご)みを痛感した。

2010年6月5日産経新聞 書評倶楽部

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