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花に込めた思い

今年も岳龍会のパーティが開かれた。岳龍会とは山岳関係者が橋本龍太郎氏との親睦を深める為に組織している後援会である。

このたびのパーティの名前は「橋本龍太郎と山を語る会」。私は会場におおきな花をお送りさせていただいた。私なりの橋本氏へのお詫びも含めいろいろな思いを込めた贈り物であった。その花に込めた思いの真相をここで明かしたい。

橋本氏との出会いは、昨年チョモランマ清掃活動中に、橋本氏が総隊長を勤められた日本J・中国・ネパール三国合同登山隊のゴミをわが隊が発見し、そのゴミの一部を橋本氏ご本人にお届けにあがった時からだ。それがきっかけとなり、その後たびたび、橋本事務所に訪れては清掃活動へのアドバイスを頂いてきた。

私がチョモランマで清掃活動を行っている5月4日、フジテレビの「スーパーニュース」でチョモランマからの生中継を行った。そのなかで現地からの私のリポートとつながるように橋本龍太郎氏のコメントを流した。

番組中橋本氏が笑顔で
「もう僕のゴミを持ってこなくていいからね」
とおっしゃった。

私にしてみればその表情から橋本氏らしい冗談だと理解できたが、それに対し私も昨年に続き橋本氏のゴミを発見してしまっていたのでその事実を無視するわけにもいかず、

「今年も橋本隊のゴミが出てきましたので、またお持ちします」
とテレビの中で返事をした。橋本氏のジョークであったが、そのニュース番組の終了直後から橋本事務所、またフジテレビ、私の事務所までに視聴者から
「野口氏がチョモランマでがんばっているのにあの橋本氏の発言は不謹慎だ!」

との苦情の連絡が相次いだ。また、某女性誌がこの騒動を嗅ぎ付け
「テレビで『エベレストで捨てたゴミ持ってきてくれなくていいからね』の問題発言!」
という見出しで橋本氏バッシングの記事まで掲載される始末!! 私も帰国後にこのあまりにも低レベルな本質的になんら意味をなさない記事に呆れはて、報道する側の無責任な姿勢を改めて痛感した。

橋本氏もその件では
「あれは参ったよ」
と残念がられていた。ジョークを許さなくなりつつある日本の風潮がなんともあじけなく人間味の無い方向へと向かってはしまわないかと心配にもなった。

私の事務所にも橋本氏への批判の連絡を頂いたが、ここで1つハッキリしたい。

私のチョモランマ清掃活動には批判的に受け取る方々もたくさんいらっしゃる。特に山岳関係者の一部からは批判な意見も相次いだが、そんななかにあって橋本氏は山岳関係者として、またチョモランマ登山隊最高責任者として私の活動に最大の理解を示していただき、時には自分が悪役になりながらもどれだけ私をかばい続けてくださったことか…。

私を心底応援してくださっている。アルピニスト橋本龍太郎氏の後輩として私は先輩橋本龍太郎氏を尊敬し、また感謝してやまない。

「橋本龍太郎と山を語る会」にお届けした花には私のそういった気持ちが込められている。

某週刊誌の記事。私にとっては励ましにも感じた橋本氏「もう持ってこなくていいからね」という発言がこんな形で波紋を呼ぶとは…。受け取る側の人によってこんなにもとらえかたがちがうことがあるということを痛感した。
 
  単に橋本氏に会いたいと言うこともあって結局今年も事務所にゴミをお届けしたわけだが、こんなことがあっても橋本氏は笑顔で迎え入れてくれた。
     
2001年6月28日
野口健