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停学処分になった女子高生

11月2日の朝日新聞の夕刊を読んでいたら「米の高校生が停学処分」との大きな見出しが目に飛び込んできた。私自身が高校時代に停学処分になったせいか、この「停学処分」に敏感だったのかもしれない。その見出しの横に「反戦クラブ組織計画した少女」と書かれており、ますます気になった。記事を読んでこれまた驚いた。記事の内容は次の通りだ。

「米国のアフガニスタン攻撃に心を痛めた米国の高校2年の女子が、校内で反戦クラブを組織しようとして、停学処分を受けた。処分を取り消すよう求めて提訴したが、
「この時期の反政府活動は教育現場を混乱させる」
と裁判官も停学を支持した。ウェストバージ二ア州チャールストンにあるシソビル高校に通うケイティ・シェラさん(15)。10月中旬から
「アフガンで死んでいく子供達をテレビで見て、国家安全保障の新しい意味に気づいた」
と手書きしたTシャツを着て登校。戦争中止を求める「無政府主義クラブ」を結成しようとビラを配布し、約20人の賛同者を集めた。
これを知った校長は
「この難局下に反政府主義を標ぼうするのは、真珠湾攻撃の直後の米国で日の丸を振りかざすようなものだ」
と3日間の停学処分にした。


この感情論でしかない校長の意見にはまったくもって失望させられた。自由主義を謳うアメリカで15歳の女の子の正義感が学校や裁判官、教育委員会によって押しつぶされようとしている。タリバンのように反政府運動者を死刑にまでしないものの、このシソビル高校では言論の自由は殺されたに等しい。戦争を嫌がり、他の手段で解決を望むのは誰もが共通して思う事だ。しかし、時には犠牲を覚悟で戦わなきゃならないこともあるだろう。

僕自身、この戦争はやむを得ないと考えている。テロ相手に妥協してはならないと思う。ただ、だからと言って異なる意見を権力や腕力で一方的に抑えてはならない。日本も以前同じ過ちを犯した。第二次戦争中に反戦運動を行った者へ特別警察が拷問を行い逮捕した。あの吉田茂も牢屋に何度となくぶち込まれた。言論の自由が許されなかった悲しく哀れな時代だった。アメリカは戦時中にあり、難局下であろうが、それならばなおさら、冷静さを保ってほしい。大人たちが子供達の正義感に傷をつけ、言論の自由を踏み潰すとは何事か。タリバンと変わらないじゃないか。色々な意見を言論によってぶつけ合うのがアメリカの目指した自由な国ではなかったのか。

2001年11月3日
野口健