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お疲れ様でした、川口環境大臣

 とりあえずほっとした。川口環境大臣に感謝したい。地球温暖化防止マラケシュ会議で、先進国が温暖化ガスを削減するとの京都議定書の運用規定で最終合意した。米国離脱で日本の経済界には、批准に反対する意見が飛び出し、餌につられてか商工関係議員までもが、反対色を匂わせた。

それにしても、途上国の不参加と自国の経済への悪影響を理由に議定書不支持の立場をとるアメリカにはガッカリした。途上国をリードし、引っ張っていくのが先進国の役目であり責任じゃないのか?。情けない。結局は自国の経済への配慮しかされていない。世界の平和のためにテロと戦うと宣言し、世界中に我々と手を組むか、それともテロリストと組むかと迫り、世界の警察官だと言わんばかりのアメリカが結局は地球規模の環境保護という視点をも持てず自国の経済を優先し駄々をこねる姿に、アメリカの本質を見たような気がする。

それにしても、日本の経団連も情けない。アメリカが抜けたまま温室効果ガスの排出削減を進めれば、生産コストなどに負担がかかり、このような制約を受けないアメリカ企業に、日本メーカーの競争力の低下を懸念しているとのコメントを発表していたが、いつまで人の顔色を眺めながら自分の態度を決めるのか。
「アメリカさんが合意するなら、合意します。アメリカさんが参加しないなら、我々も…。」
では、何処を見て仕事しているんだと疑いたくなる。
確かに、短期的に見ればアメリカよりも生産コストがかかってしまう日本メーカーは、価格競争だけをみれば立場が苦しくなるだろう。しかし、逆に厳しい条件の中で試行錯誤を繰り返しながら製品の開発に力を注げば将来的にアメリカよりも優れたハイテク技術が優れた製品を生み出せるだろう。
既にトヨタのハイブリットカー(エステマ・プリウス)のようなエコカーが実際に市場に出回っているのは全世界で日本だけだろう。ベンツやBMWもエコカーの開発を目指しているようだが完成に至っていない。この京都議定書の合意は日本にとって1つのチャンスではないだろうか? 経団連の桝本地球環境本部会長の
「新たな税負担や規制で目標を達成しようとすれば、厳しい経済や雇用にマイナスになる」
という意見こそがマイナスではないだろうか? そして残念であったのが、欧州が提案した削減目標を守れなかった場合の罰則であるが、日本はこの罰則案に強く抵抗した。1つには、いつでもアメリカが参加できるように配慮したとの意見も聞こえてくるが、罰則の無い運営規則はもろい。1つの国が脱落すれば、芋づる式に脱落組みがでてくるだろう。罰則の無い規則は、時に守ろうとする側の責任感までもが薄れる。その国々の責任を明確にしてこそ実現できる高い高いハードルなのではないだろうか。

2001年11月24日
野口健