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健康に楽しく生きる僕のコツ

 3月1日、午後11時30分、翌日から八ヶ岳でのテレビロケの前夜に僕は一人、八ヶ岳にやってきた。
 東京での目まぐるしいスケジュールの合間を縫って、僕はときどき八ヶ岳の玄関口でもある渋の湯にでかける。

 そこには「渋御殿湯」という山小屋(民宿)がある。平日はほとんど貸しきり状態。通称「渋の湯」の名にふさわしい、ひっそりとしたその外観や寝室、それになんといっても薄暗い浴室に木製の湯船が僕はとくに好きだ。

 講演で地方にでかけるときは努めてできるだけ温泉がある宿をとるようにしてるほど実は温泉が大好き。全国の講演に周ったおかげで随分と各地の温泉に浸ってきたので温泉にはかなりうるさいほう。その中でもこの「渋御殿湯」の湯は抜群なのだ。

 湯から上がってもしばらくの間、体はポカポカ。肉体の疲れだけでなく、一人、薄暗い部屋の浴槽に浸かり骨の芯まで暖まると心が癒されていくのを感じる。

 僕が泊まる部屋は決まって107号室。決して豪華なわけでもない質素な部屋なのだが、何故かとても落ち着くお気に入りの部屋なのだ。6畳ほどの狭い畳部屋にコタツとテレビしかないシンプルな空間だけれども、高級ホテルのスイートルームよりもはるかに好きなのだ。

  エベレスト遠征前などにフラリと一人でやってきてエベレストへの現実逃避したりする。日ごろの生活で溜まったストレスもここの湯に流してしまう。

さらに、素晴らしいことにここは携帯電話の電波が届かない。この不便さが僕にはたまらなく嬉しい。携帯電話に振り回される日々の生活。5年も前には持っていなかった携帯電話。なくても社会はしっかりと機能していたのに、今では携帯電話を持たないことなど許されない風潮になってしまった。便利を追求しすぎたため、逆にその卓越した便利さゆえに追い詰められる日々。無駄な時間、空間がよしとされなくなってしまった。

 効率、効率と目まぐるしい日々のやり取りの中で、ときどき
「ほっといてくれよ!」
と、ばかりに僕はこのひっそりとたたずむ山小屋にやってくるのだ。

 風呂上りに一人コタツに足を入れながら本を読んだり、原稿を書いたり、また普段めったに見ないバラエティー番組を見ながらゲラゲラ笑ったりと、自分の時間をゆったりと過ごす。

 だれにも邪魔されない幸せなひと時。
「100万回のコンチキショウ」
と怒リ続けられるのも、ちゃんとこうした空間があるからなのかもしれない。
楽しく、健康に生きていくためには、どこかでしっかりとバランスとってあげなきゃね!橋本龍太郎さんにも、この空間を分けてあげたいと思ったりした。

2002年3月7日
野口健