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「都レンジャーいよいよ出陣!」

 7月8日に奥多摩のとある村で猛暑のなか都レンジャーの出陣式が行われた。初めての地方自治体によるレンジャー制度がスタートしたわけだ。昨年の9月に石原都知事に都レンジャー案を直訴してからの半年はとにかく都レンジャーのことで頭が一杯だった。寝ても起きても都レンジャー、酒を飲んでも叫ぶのは「都レンジャー!」だった。スタッフの小林元喜も「都レンジャー病ですよ。たまには違う事を考えたほうがいいんじゃないですか」と心配してくれるのだが、確かに自分でもこの都レンジャーに対する病的な思い入れは怖かった。

 一月に小笠原で講演活動や島民との意見交換会などで都レンジャーの立場やそのあり方について発言するのだが、正式に都レンジャーの隊長職の辞令が都からあるわけでもなく、都の職員でもない自分の発言がその通りになるのかまったく根拠もなく、発言した夜はプレッシャーで疲れ果てているにも関わらず寝られなかった。しかし、島内には都レンジャーなるものに対する反発も戸惑いも多いわけで、あの時期に私が言葉を濁していたら反対派や不安を声にしている方々への説得などできるわけもなく、もう後のことはいいやと、くよくよ考えずに自分の都レンジャーに対する信念をひたすらしゃべろうと腹をくくるしかなかった。


東京都レンジャー出陣式にて激励の挨拶 7月8日 檜原村の「檜原都民の森」にて


 それでも夜は気分転化のためにバーで一杯やるのだが、いつのまにかスタッフ相手に都レンジャー談義を吹っかけていた。あきれ果てた、彼らの閉口した表情だけがなんとなく私の記憶に残っている。都レンジャーの出陣式ではそんな出来事を思い出しながらよくぞスタートラインまでたどり着いたものだと目頭が熱くなった。石原都知事に頂いたチャンスを無駄にするわけにはいかない。

 もうすでに都レンジャーは小笠原諸島、奥多摩の2箇所で任務を開始しているが、これからも彼らの活躍を見守っていきたい。そして都レンジャーが活躍し成果を現せば間違いなく地方レンジャーが全国へと普及していくだろう。東京都の自然は東京都が守るように、例えば富士山の自然は山梨県、静岡県の両県を中心に守る、屋久島ならば鹿児島県、白神山地ならば青森、秋田の両県がリーダシップを握って守る。自分たちの自然は自分たちで守る。それがあってから国に協力を仰ぐ。国に対する依存体質からの脱却こそ今、地方自治体が目指し求められていることではないだろうか。

 前例主義の日本。都レンジャー隊員には「都レンジャーはたかだか東京の自然を守るというものではない。都レンジャーが成功すればその影響は全国に広がる。日本を変えるんだという大きな使命感をもって活躍してください」と激励した。私の次なる目標は「富士レンジャー」の設立だ。どのように実現させていくのか、もうすでに富士レンジャー病に犯されはじめている。いやはや、どうしていつもこうなのだろうか。時には立ち止まる事も大切だと分かりつつも、前しか見えなくなってしまう。私の前世は鶏だったのかなぁ〜。

2004年 8月16日 野口健