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野口健からのメッセージ

 
サマ村入り・学校建設現場視察

  サマ村入りした日の夜からドカ雪が降り続け翌日は一日中テントの中で休息。今日ばかりは恵みの雪となりました。何しろ大雪のお陰で何もしなくていいのだ。一日中ボーと過ごせるなんていつ以来か。サマ村にはマナスル峰に挑戦する登山隊がわんさかたまっていた。我らの宿にもイラン人、ロシア人、グルジア人、イタリア人、チェコ人、そして僕ら日本人とインターナショナルだ。グルジア人は99年に僕がエベレストに登った時に一緒だった男で、20人のロシア隊に一人参加しているとのことで、久々の再会に抱き合ったりもしたが、そんなことよりも「ロシア人と一緒で大丈夫なの?こんな所で戦わないでよ」と聞いてみたらニヤッと笑いながら「殺しはしないよ」と。なにしろグルジア人はアツい。特にロシア問題となると全身で愛国心を表す。エベレスト清掃活動では4年間にわたり、グルジア人登山家ギーアと一緒に清掃活動を行ってきたが、ロシアの話題になると決まって「我々は決してロシアに屈しはしない」と最低一時間は演説をぶっていたものだ。そのギーアは一昨年から国会議員となり、それこそ昨年のロシア軍との一戦の時には張り切っていたそうな。

チベット文化を漂わせるサマ村

 サマ村でのテーマはおもに3つ。1つは休養し体調を整えること。なにしろここからはマナスル登山が控えているわけで、ここが休むラストポイント。次に12日に行われる富士山との同時清掃。ここサマ村と富士山とで同時清掃活動を行い衛星中継で互いの活動報告を行う。そして最後にマナスル基金による学校建設の現場視察と村人との細かな打ち合わせである。

 9〜10日は雪の影響でテントの中でゆっくりとした。おかげで久々にブログも更新できたし、ただ、ちょっと愚痴が過ぎたかなと原稿を日本に送信してから反省。テントを持たずにキャラバンしたのは明らかにこちらの落ち度で、確かに山小屋はなかなかの代物であったが、エベレスト街道が極端に開発されているだけで、本来はこんなものです。そもそも雨漏り、ダニ、食中毒なんかを気にしていたら僻地での冒険活動は成り立たないわけですから。

サマ村からのマナスル峰,本当にこの山に登れるのだろうか

 11日はマナスル基金で建設される学校の校長先生であるビルバートル氏と学校建設現場に向かった。途中、気がついたのが村にゴミが落ちていないことだ。3年前は至る所がゴミだらけでサマ村で村人を集めて一斉清掃を行ったらたかだか2時間たらずで5トンほど回収したが、今ではそのゴミが見当たらない。ビルバートルに聞いてみたら「ケン、あれから私たちは定期的にごみ拾いを始めた。2週間前も村人と一緒に清掃したばかり」と。それだけではない。驚いたのがマナスルのベースキャンプの清掃活動も行っており、登山隊が残したゴミのみならず、サマ村が独自ルールを作り各登山隊からお金を徴収し各登山隊のトイレを下ろすことを始めたとのことだ。ビルバートルが「ケンが3年前に来てマナスルでごみ拾いをしたことは村人にとって大きな出来事だった。そのケンが学校まで建ててくれる。私たち村人はこの3年間で大きくかわったよ」となんとも嬉しい言葉だった。こうゆう事なんだよ。これを求めてずっとヒマラヤで活動を続けてきたんだ。エベレスト清掃でシェルパ達が変わってきたように確かな変化があちこちで起きている。

学校建設現場で説明を受ける  


                  
ビルバートル氏と

 学校建設現場はサマ村の入口付近の広い高原にある。マナスル峰も見渡せ、とても静かで美しい場所に、いよいよここで学校作りが始まるんだと胸がワクワクとときめいた。ビルバートル校長とカトマンズから派遣している建設会社のスタッフに図面を元にどのように建設していくのか事細かく説明を受けた。予定通りに進めば11月までに寮と教室に食堂とトイレは完成する。年内にこれが済めば来年はもう一棟、寮を建てる予定だ。そして校庭にサッカーやバレーボールができるグランド。図書室に保健室と、ヒラリー卿のようにこれから何年もかけて少しずつ充実させていきたい。優秀な教員の確保も大きなテーマとなる。そうすんなりと順調にプロジェクトが進むとも思っていない。まあ〜色々とあるでしょう。ただ、このプロジェクトには夢がある。

建設現場でプロジェクトの成功を誓う

図面を見ながら確認する

 このマナスル登山を無事に終えたら、ヒマラヤでの活動は学校建設またシェルパ基金に縛り専念したい。

平賀カメラマン登場!

2009年4月11日 サマ村にて 野口健