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野口健からのメッセージ

 
「千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式」に参列して


  5月25日、主にフィリピンなどで収集された戦没者のご遺骨1,406体が千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納骨された。この拝礼式にはどうしても参列したかった。登頂はならなかったもののヒマラヤ・マナスル峰から下山し拝礼式に間に合った事にホッと胸を撫で下ろす思いであった。

靖国神社にて参拝

昨年から空援隊の一員となり、フィリピンで遺骨調査に加わるようになった。昨年までは厚労省等の許可を頂けず民間団体による「遺骨収集」は許されていなかった。灼熱地獄のジャングルをさ迷い必死の思いでご遺骨を発見してもどうにもすることができなかった。

三笠宮同妃両殿下による御拝礼

しかし、あれから一年、事態は大きく変わろうとしている。昨年11月、厚労省から「空援隊に関しては遺骨収集活動を認める」と条件付ではあるがお認め頂き、この3月、再びフィリピン(セブ島・レイテ島・ポロ島)に戻り、昨年までに発見していたご遺骨を収集し、念願であったご遺骨と共に帰国を果たした。

この一年、ご遺骨のおかれた状況を主にメディアなどを通じ訴えてきました。多くの人々から「そんなことになっているとは知らなかった」とご連絡を頂いた。知ってもらうことからアクションを始めようと考えたわけですが、想像以上に反響があった。厚労省にも国民から様々な問合せがあったとも聞いています。

空援隊メンバーと

そして政治家の先生方からも「これはなんとかしなければならない」と言葉のみならず、遺骨収集に関する議員立法を立ち上げ予算を付けようといった具体案まで持ち上がっている。この日も議員会館にて小島敏男先生、戸井田徹先生、中山泰秀先生、鈴木宗男先生、川田龍平先生、また防衛省では浜田防衛大臣とも意見交換を行った。

浜田防衛大臣と

(浜田大臣には遺骨収集時にご遺骨と一緒に発見される旧日本軍の手榴弾などの不発弾の処理、また富士山山ろくに不法投棄されている廃棄物の回収作業に自衛隊のサポートを得られないものか相談させて頂きました)

川田龍平さんと

この流れを止めたくない。その為にも我々、空援隊は絶えず現場から訴え続けていかなければならないが、現場は想像以上に過酷だ。私のヒマラヤ遠征中も空援隊のメンバーによって遺骨収集活動は続けられたが、メンバーの一人がゲリラ(山賊)に拘束された。自力で脱出し助かったがフィリピンでの遺骨収集活動は常にリスクが付きまとう。ゲリラ(山賊含む)、マラリア、コブラなど遺骨収集活動はまさに命がけだ。過酷きわまる環境下での活動だけに最後、墓苑に収まるご遺骨をしかと見届けたかった。

拝礼式で東條由布子さんと再会

この度、納骨されたご遺骨は1,406体。その内、空援隊が関わったのが1,230体。つまり昨年度に収集されたご遺骨の大半が空援隊によるものだ。今まで厚労相によって収集されてきたご遺骨は年平均600体。

今年度に入り(5月)空援隊が収集し帰国されたご遺骨は既に1260体。この半年だけでも2000体を越えている。「一NPO法人がここまで出来るのに今まで国は何をやってきたのか」といった声が沸きあがる中、我々としては、国との連携を強化し一緒になって取り組んでいきたいし、また厚労省、外務省にはもっと当事者意識を強めて頂きたい。

議員会館にて御遺骨収集団報告会が行われた

この拝礼式に参列しながら「まだまだ多くの英霊が戦地で野ざらしにされたままだ。一刻も早く、一体でも多く、祖国に帰したい」と同士である倉田宇山氏と誓い合っていた。

2009年5月16日 野口健