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野口健からのメッセージ
 

 
「黙々と歩く御坂山系」

 
  10月29日、平賀淳カメラマンと二人でトレーニング。今回の目的は河口湖畔の浅間神社から三ツ峠〜御坂山〜黒岳〜破風山〜中藤山〜不逢山〜鬼ヶ岳、そして西湖湖畔にある富士山クラブの拠点である森の学校までを一気に歩ききること。つまり御坂山系登山であるが、今年2月に同じコースでチャレンジしていたが、雪が多く予想以上に時間がかかり黒岳を過ぎたあたりで日が暮れ新道峠から下っていただけに今回はなんとか遂行させたかった。

ふかふかの落ち葉が心地いい 

 10月28日、18時過ぎまで東京で用事があり、それから山梨県川口湖へと向かったので床に就いたのは23時過ぎ。そして午前3時半に起床。寝ぼけながら宿を発ち6時には登山開始。浅間神社の横を通り三ツ峠へ。このコースは稜線に出ても樹林帯が続く。故にあの稜線にでた時の視界がパアっとひらけるような爽快感というよりもモクモクと森の中を歩く。ただその分だけ森の中で過ごせる時間も永く今回のように紅葉の時期と重なるとそれはそれで楽しい。八ヶ岳の時はあの絶景に見とれ遠くばかりを眺めていたが、御坂山系は目の前の小さな自然1つ1つがなんとも可愛らしくヒマラヤのようなスケール感はないものの、極めて日本的な優しさ、癒しがあった。日常生活は戦場のようだけれどここはとても静か。耳に響いてくる音は落ち葉の上を歩くときに発するガサガサとした音ばかり。そういえば最近、落葉の上を歩く事も少なくなってきたような、子どもの頃はよくあったのになぁ〜と。これだけ山を歩いている私でもそうなのだから都会で生活していたらなおそうあろうと。すぐに片付けられてしまうからなのか落葉との出会いも貴重となってきたような。落葉には落葉の役割がちゃんとあるのだから土に帰してあげないと。土に戻る前に集めて燃やしてしまってはもったいない。

浅間神社からスタート

 平日となれば三ツ峠以外はほぼ人と会う事もない。ガスが湧きまるで羅生門にでてくるような鬱蒼とした森。けしてカラッとしているわけでもなく、どちらかと言えば地味で夜になるとまるで深海の底にいるかのようにシーンと静まりかえり、それはまるで動物たちも息を殺してジッとしているかのような、あの独特な沈黙がなんとも寂しくもあり、ただその寂しさがとても心地よかったりもする。僕はカラッとした爽やかな世界よりも例えば冬の日本海のような荒々しくまたじっとりとした世界の方が性に合っているような気がする。

けっこうお疲れ?

お〜い、あと何時間?


 それにしてもこのコースは永い。歩いても、歩いてもまるで出口のないトンネルに迷い込んでしまったような、とにかく実際以上に永く感じる。木々に囲まれている為か確かに山々に登頂しているのだけれど、その達成感なるものはなかなか感じられない。黒岳までもなかなかの工程を歩いてたどり着いたのだが、標識がなければ山頂とは気が付きようもない。標識に抱きつきながら「せっかくの山頂なのだからもっと自身をアピールしたほうがいいぞ」と山頂に話しかけたりもしたが、「そんな自己主張など無用だ、ひっそりとさせてくれよ」とそんな声が戻ってきそうだった。ひっそりと生きる。そんな生き方が出来るのならば何よりも幸せなのだろうと、少しだけ黒岳に嫉妬していたのかもしれない。
  ゴール地である「森の学校」に到着したのは18時を少しだけ過ぎた頃。12時間歩き続け森の学校手前で富士山クラブの舟津ちゃんの「お疲れさま!」との声が聞こえた時は「おい、淳、やっと着いたぞ」とヘロヘロになりながら握手していた。

 今回も平賀カメラマンと撮影を競った。前回の山行から互いに写真撮影しながら「えっへん!俺の方が上手だ!」「いや、お前のは発想が単純だ。俺の方が奥が深い」などと実際のところはさておき好き勝手互いに批評しながらプチ評論家の如く言い合いながら歩くようになった。側から見たらどっちもどっちとなるのかもしれないが、そんなじゃれ合いが意外と楽しいもの。また最初は冗談で競っていたのがいつしか超マジになっているのも可笑しかった。採点は皆さんにお任せ致しますが、あの逆光にたたずむ私のシルエットなどさすがにカメラマンだと唸った。そしてそれ以上の発見は「あれ!僕の足は案外と長いぞ!」であったかな?

野口健撮影

野口健撮影

紅葉がなんとも美しい・野口健撮影



鎮守の森(平賀淳撮影)

三ツ峠手前まらの富士山(平賀淳撮影)

 八ヶ岳大縦走の最終予定日となっていた今度の日曜日〜月曜日の天気予報であるがどちらも雨天。八ヶ岳の黒百合ヒュッテに電話し確認したところ、雪が降るであろうとのこと。大縦走でなければ雪の登山も楽しいが20時間以上かかる大縦走となれば安定した天候がなによりも必要不可欠となる。客観的状況からして決行は極めて厳しくなり、極めて残念ながら今年は・・・ムリかな・・・(涙)来年の6月以降に再挑戦となります。応援してくださったみなさま、お騒がせ致しました。申し訳ございませんでした。それにしても、先週に引き続き予定していたその二日間だけ雨天でその前後は晴天。これは「今回は止めておけ」との天の声と解釈し、来年までさらにしっかりとトレーニングを積みたいと思います。まあ〜山は逃げませんので、次回目指してコツコツと登り続けます。

平賀カメラマンの本日ベストショット。足が長いようです。(あくまでも国民の声)



羅生門にでてきそうな雰囲気(野口健撮影)

月光ではなく霧の中の太陽です(平賀撮影)

鬼ヶ岳山頂にて(平賀淳撮影)

2009年10月30日 野口健