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「小沢一郎氏、鳩山由起夫氏に対する私見」

  先日、このブログ内にて「小沢一郎発言に耐えがたい嫌悪感」と題した記事を書きましたが、その反響は予想以上にとても大きかった。賛否両論、様々な意見が寄せられました。また必ずしも真意が十分に伝わっていなかった、説明不足がありましたので、ここで改めて自身の捉え方を述べさせて頂きたい。私が小沢氏の言動に対し疑問を感じたのは天皇陛下の政治利用問題が取りただされる前からです。

 例えば小沢氏が総勢600人を超える大訪中団のさいに胡錦濤氏との会談でのやり取りの中で小沢氏は自身を中国人民解放軍の野戦軍司令官にたとえ「解放の戦いはまだ済んでいない。来年7月に最終決戦がある」と来年の参議院選挙で勝利しなければならないと発言。220万人に及ぶ中国人民解放軍が今まで何を行ってきたのか?

 例えば、第二次天安門事件が発生した時のこと。建前上、国家の軍隊ではない共産党の党軍である人民解放軍が民主化運動の弾圧を行った。中国人の中からも「人民を抑圧している軍隊という印象を持ち、人民解放軍に失望した」と声が上がったそうだ。

 中国で度々使われる「解放」という言葉をそのまま鵜呑みにしてはならない。何故ならばあの大量殺りくが行われたいわゆるチベット問題ですが、中国政府は「封建農奴制からの解放」とうたってきた。

 1950年のチベット侵攻は中国人民解放軍がチベットのガンデンポタン支配地気に侵略した戦争です。中国人民共和国側はこれを「西チベット和平解放」とうたった。この解放の名のもと、一七か条協定が中華人民共和国側から提案され、チベットは中華人民共和国に併合されていくことになったとのこと。

 そういった経緯がある中、日本の与党幹事長である小沢氏が中国人民解放軍の軍司令官と自身をなぞらえて発言を行った事が報道されていましたが、これが事実ならば不謹慎であろう。

 天安門事件にしろ、今現在進行中のチベット問題にしろ、国際社会は中国に対し厳しく抗議しなければならないにも関わらず、この小沢氏の発言は中国が行ってきたこのような行為を正当化してしまう事に繋がりやしないだろうか。

 そして来年の参議院選挙で「民主党が勝利することで解放される」といったような事を表現されているが解放ってそもそもなに?

 民主党が勝利し単独過半数を超えれば社民党や国民新党を切り、連立政権を解消し他党からとやかく言われずに好き勝手にできる。つまり社民党や国民新党からの解放?それとも自民党にトドメを刺す事によって生じる解放?中国を持ち上げてまで発言した小沢氏の「解放の戦い」の真相とは何か?

 そして次に小沢氏の「キリスト教は独善的」発言にも驚かされた。11月10日、和歌山県高野町にて小沢氏は記者団に向かって「キリスト教は排他的で独善的な宗教だ。キリスト教を背景とした欧州社会は行き詰っている」と記者団に発言。そして「キリスト教徒よりましだが、イスラム教も排他的だ」とも。そしてその一方で「仏教は人間としての生きざまや心の持ちようを原点から教えてくれる」と発言。

「キリスト教やイスラム教はよくないが仏教は素晴らしいんだ」と言っているに等しいがこの意見こそがまさしく排他的ではないか。そして宗教に対しまったく配慮のないこの発言のセンスのなさ。世界中のキリスト教徒、イスラム教徒がこの言葉を聞いたらどのように感じるだろうか。自身の宗教的信仰と異なる人々をバッサリと切り捨てたこの発言は、政権与党の幹事長であり、事実上日本の最高権力者によって行われたのだ。
 
  私は子ども時代、外交官であった父と共にサウジアラビア、エジプト、イエメンといった中東諸国で過ごしたことがありますが、圧倒的大半のアラブ人は熱心なイスラム教徒です。イスラムの教えは彼らの心でもある。故に宗教的な発言は極めて慎重に行われるべきであり、仮に考え方が異なったとしても相手を尊重しなければならない。小沢氏の発言はキリスト教徒、イスラム教徒の心を大きく傷つけ侮辱してしまった。これは最もやってはならないこと。

 これは森元総理の「神の国発言」よりも明らかに意図的であり悪意が感じられる。にも関わらずマスコミはこの発言を大きく報じなかったのは何故か?いずれにせよ残念ながら日本は世界に対しとんでもないメッセージを発してしまった。

 そして沖縄の米軍基地問題で鳩山総理は「社民党との連立も大切」といかにも自身が決断出来ないのは社民党のせいだと言わんばかりであるが、そもそも小沢氏が民主党代表時代に「極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分」と発言。艦隊は海に浮かんでいるわけだから、この第7艦隊だけでいいということは、米軍基地の県外移設といった次元ではなく、つまり日本中にある全ての米軍基地が必要ないと断言したに等しいわけです。
 
  先日の民主党訪中団の団長を務めた山岡賢次国対委員長は民主党と上海国際問題研究院の共同シンポジウムで「日米関係が基地問題で若干ぎくしゃくしているのは事実だ。そのためにもまず、日中関係を強固にし、正三角形が築けるよう米国の問題を解決していくのが現実的プロセスだと思っている」と発言。

 これはつまり「米国よりもまずは中国」といった民主政権の外交姿勢を示したものなのでしょう。社民党云々ではなく、民主政権そのものがアメリカとの摩擦を確かなものにしていると素人ながらそのように解釈しています。

 そして最後に私がなんとも情けないと感じたのは鳩山首相が11月14日にブルネイのボルキア国王と会談したときのこと。ブルネイは天然資源が豊富でブルネイ国民による所得税は無税。それに対しわが日本の首相はブルネイ国王に

「国民に税金が課されないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」

 と発言。ならば鳩山首相からすれば私は日本国民ではないのかもしれない。何故ならば私は自分の国に税金を納めてでもこの国の社会の一員として生きていきたい。とっ言うか、そもそも論として納税は国民の義務ではなかったか。税金逃れのために他国に移住するなどと考えたこともないし、そのような日本人がいたとしたのならば悲しいこと。

 
  そして何よりも残念な事は日本の首相が日本国民を外交の場でけなしたことです。

 ブルネイの国王に「税金を払うぐらいならば日本国民が国を捨てたがるだろう」と言ったに等しいが、なるほど、鳩山氏のその発言は偽装献金問題にまで繋がってくる。母親から毎年1億8000万円の資金提供が判明しているだけで6年間続いた。約9億円。偽装献金に使われたのは母親から提供された資金であったとされている。同額が弟である邦夫氏にも渡っていたとされるが、由起夫氏サイドはあくまでも「貸付だ」と説明。それに対し弟の邦夫氏は「最大限の贈与税を払い、私の責任のつけ方としたい」と事実上認めた。また責任の取り方として党の役職を辞任された。

 贈与税を払いたくないための虚偽記載、つまり悪質な脱税行為が行われきた可能性が徐々に明らかになってきたわけですが、あのブルネイの国王に対し「税金を払うぐらいならば日本国民はブルネイに移住したいと考える」と発言したあの言葉に対し

「日本国民ではなく、鳩山首相、あなた自身の心の声ではなかったのですか」

と私は問いたい。

 
  長々と書きました。私のこの文章に不快感を感じる方も中にはいらっしゃるかもしれない。また違った考え方をする方もいらっしゃるでしょう。それはそれで当然の事で多種多様な考え方、受け取り方があるのが健全な社会です。したがって自分の考え方を一方的に押しつけるものではありません。あくまでも自身のブログの中で私が感じてきた事の一部を述べさせて頂いたものです。

 誤解されたくないのは、意地悪心で揚げ足取りをしているわけではないことです。また民主党故に批判的な意見を述べているわけでもないということです。ただこの耐えがたい危機感を抑える事ができなくなった。それだけです。

 

2009年12月20日 野口健