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5月6日
■ABC滞在 130キロ程ゴミを回収

 今日はノースコルへ向かう予定であったが、 ABCで各隊の隊長が集まってミーティングが行うというので一日延期した。公募隊隊長のラッセル・ブライス氏が中心となり、上部でのルート工作が主な議題であったが、どの隊が最終キャンプへ固定ロープを張るのか、最終キャンプから頂上までのルート工作は、どの隊がやるのか、また、それにかかる経費は誰が負担するのか、全ての隊がどのように協力しあい、負担するのか他の日本隊隊長不在の中、話合いが行なわれた。

 結論は270人いる隊員から25ドルを徴収し、その集めた資金からルート工作にかか

る経費、人件費を支払う事となった。人件費とは各隊から何名かシェルパを提供し、ルート工作を行い、そのシェルパ達にルート工作費用として皆から集めた経費の中から支払う。他の外国隊が皆賛成する中、日本隊の中からこの提案に疑問を持ち、非協力的な意見が後から出されたが結局、誤解もあったのだろうか、最終的にはこの提案を受け入れた。しかし、この件で日本隊に対する方々の不信感は並大抵でなく、日本隊数隊がなかなか決断しない中、ある著名なシェルパ頭から「日本人はなかなか決断できない。まるでロバだ」と痛い批判を受けてしまった。私は関係ないのに・・・・。

 そして、もう1つの議題は我々の清掃活動である。我々とチベット登山協会がABCに1つテントを張りそこに各隊が出す毎週のゴミを袋に詰め、毎週持ってきてもらうようお願いした。そこに集められたゴミを毎週15頭のヤクが BCへ下ろす事となった。本来ならば各隊が各自で自身のゴミぐらいBCへ下ろしてもらいたいものだが、残念ながらそこまでの発想が普及していない。例えば、トイレであるが氷河上のABCでは人の糞は分解されず半永久的にその場に残る。従って、トイレもBCに下ろすのが本来の形であるが、ABCからトイレをドラムに詰めBCに下ろす隊は野口隊、ラッセル隊、スペイン隊、ドイツ隊のみである。約400人いるABCで全ての人が糞を垂れ流せば、数年後ABCは糞まみれになるだろう。

 ネパール側のBCでは各隊が糞をドラムに詰め下ろす事が義務づけている。私はチベット登山協会や中国登山協会に 今後ABCでのトイレの各隊の回収を義務付け、守られていない隊からは罰金を取るよう提案した。チベット登山協会のダワ・ツェリンもメモをとりラサでの会議に提案すると前向きであった。

 この日、ミーティング後、野口隊でABCの清掃を行い130キロ程ゴミを回収した。過去の日本隊のゴミも回収し80年代後半のゴミとみられるものが多く発見された。主に缶詰の空き缶、スポーツ飲料水の袋、等々であるが、日本語のゴミが散らばるのを目撃し情けなかった。ほかにも日本隊以外のゴミを多く回収し、ABCだけでも1トンは軽く回収できるものと判断し、ABC清掃担当シェルパを2人にした。

 足を腫らしたシェルパを今日ヤクに乗せBCへと下ろした。医者によると血行障害が進むと危険な状態になるとのことで至急手続きをとりカトマンズへ返すことにした。無学な私にはなにも出来ず・・・・。