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橋本元総理との出会い/1

2000年10月、都庁で開いた清掃登山活動展を訪れた橋本元総理  

 2000年3月22日、私はチョモランマ清掃登山活動のため日本を離れた。

 日本を離れる直前にある一枚の絵葉書が私の元へ届いた。ふと何気に見たらなんと橋本龍太郎元総理であった。私の著書「落ちこぼれてエベレスト」を以前、お送りしたことがあり、そのお礼の葉書であった。お忙しい中、わざわざ礼状まで送ってくださったことに正直驚いた。感動しながら拝読していたが、手紙の結びでわけがわからなくなった。その結びとはこうだ。

 「エベレストのごみの活動も良い話です。73年の第二次RCCのメンバーのはしっこで初めてエベレストに行きましたが、その時は前年のイタリア隊のすてたもので随分助かりました」

 これからチョモランマに清掃登山隊として出かける私に「すてたもので随分助かりました」とチョモランマのゴミを称えている。しかし、その前には「エベレストのごみの活動も良い話です」とも書かれている。よく分からない葉書の内容にただただ混乱した。

  展示されたパネルに見入る
 実際に山岳関係者の一部からはこのチョモランマ清掃登山活動に対する批判の声もちらほら聞こえてくる。97年にチョモランマ初挑戦の際、私が目にした過去の日本隊のゴミがきっかけとなり、このチョモランマ清掃登山隊結成へとつながった、そのいきさつを新聞や雑誌、テレビ等で私が発言したことが、気にさわったようだ。

 そのような状況の中、橋本元総理から頂いた葉書の内容に一部の山岳関係者同様、私のチョモランマ清掃活動に釘を刺すものと受け取れないこともなかった。なぜならば、1988年にチョモランマに挑戦した日本隊が残したゴミの状態があまりにも酷く、その情報を私が発言した事があり、その隊の総隊長が橋本元総理であったからだ。

 しかし、元総理にまでなられた方が私のような一介のアルピニストをいちいち相手にするだろうか?それとも山岳関係者からの入れ知恵がなされたのか、う〜ん、やはりよく分からなかった。「すてたもので随分と助かりました」と橋本元総理がわざわざとご多忙の中、私にメッセージを送られた意味合いは何なのか、この言葉の裏にはなにが隠されているのか、考えれば考えるほどにわけが分からなくなった。

 うやむやしたまま、私はチョモランマへと出かけ、そして、私は橋本隊のゴミを大量に発見してしまう。その時、私は橋本元総理が私宛に送られたあの謎の葉書が、つまり、私への圧力であり、口封じの為であったと解釈した。怒りに燃えた私は橋本隊のゴミを日本に持ち帰り、橋本元総理へお届けすべく橋本事務所へ連絡をいれた。

2001年4月2日
Katmanduのホテルにて 野口 健