現実主義の環境保護活動団体

 NPO法人であるセブンサミッツ持続社会機構(英語訳:Seven Summits Actions For Sustainnable Society)は2002年度に、アルピニスト・野口健の環境保護活動をバックアップすることを主な目的として設立されました。英語訳の頭文字を組み合わせたSSASS(サス)が俗称です。2004年度よりは、新理事長に野口健が就任し、新たな体制で環境保護活動に取り組んでいきます。

 活動の柱は、エベレスト、富士山などを舞台とした「清掃活動」、次代を担う子供たちに環境に対する啓発および問題解決のための行動を促すことを目的とした「環境学校」、ヒマラヤの案内役であるシェルパの遺児の教育を主眼とした「シェルパ基金」の3つとなります。他にも地域主体のレンジャー制度の普及、エコツーリズムを中心とした環境保護と地域振興などにも取り組みます。

 野口が環境問題を意識したきっかけは、1997年に初めてエベレストに挑戦したときでした。ベースキャンプを中心にあふれかえる多くのゴミを目の当たりにしたときのインパクト、危機感が、現在の環境保護活動の根本にあります。
 2000年度より野口はエベレスト清掃登山に着手しますが、野口曰く「仮にテレビや新聞で『エベレストに大量のゴミがある』という報道を目にしても自分は動かなかっただろう。目の前に散乱しているその現実のインパクト、五感で感じる危機感があったからこそ行動に繋がった」とのことです。

 温暖化問題、国立公園の荒廃、ゴミ問題、エネルギー問題などなど環境問題は幅が広いものです。しかしメディアを通してそれらの情報に接しても、なかなか危機に対する実感を持つことはできません。環境問題は実に曖昧模糊として私達の眼前に広がっています。 SSASSは野口がエベレストのゴミを見て危機感を感じ、実際に行動したように、データやイメージではなく、現場でのインパクト、実感できる環境問題をテーマとしています。
 過剰に理想を追い求め、現実と乖離した活動に終始するのではなく、具体的に行動し、目に見える変化、改善を図る「現実主義の環境保護活動」に取り組んでいきます。