富士山から日本を変える
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「富士山を取り巻く環境」

 4月4日から、ヒマラヤに向けて日本を発ちます。限られた時間内でのトレーニング、どこまでやれたのか分からないけれど、ネパール入りしてから約一週間行う高所トレーニングを行い、4月15日からシシャパンマ峰が聳えるチベットの地に足を踏み入れます。ここまでくれば、後はチャレンジするだけです。正直、この一ヶ月間、3年前のシシャパンマ敗北の夢を何度繰り返してみてきた事か・・・。早くシシャパンマから開放されたいとの思いもあり、また、2ヶ月間に及ぶ挑戦に身震いがするほど、わくわくと密かに興奮しています。そしてなによりも日本からしばらく離れられる事がなによりも助かる。じっくりとヒマラヤに専念し、頭をシンプルに整理したい。今は一日も早くヒマラヤに帰りたいという気持ちで一杯です。

 最近、特に感じられますが、やっぱりヒマラヤの世界はピュアです。生き死にの世界で自然と真っ向から向き合って接する。そんな環境のなかでは五感で自然を感じとるものです。今年の一月にアフリカにいきましたが、あそこで見てきた野生動物たちの表情はじつに生き生きしていた。弱肉強食の厳しい世界で生きる彼らは全身のあらゆる感覚で危険を察知し、逞しく生きている。それに比べ帰国すれば、我が家の一員である、野口奈々さん(ねこ)がお腹をだしたまま、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、緊張感もないそのだらしのない表情に、「お前、そうじゃないだろ!もっと緊張感をもって必死に生きてみろ!」と怒鳴ってみたものの、しかしその去勢された宦官のようなひ弱な姿こそ実は自身の姿ではないかと、不安になって鏡を覗き込んだものです。
 
 環境問題は自然が相手ではなくて人間社会が相手だと事あるたびに発言してきた。環境問題に取り組んできて嬉しいこともあれば、関わってしまっただけに、辛い思いをすることも多い。NPO同士やそれに順ずる団体の対立、NPO内部での派閥争い、権力闘争、そしてつぶしあいなどがよくあると講演などでもよくお話ししてきた。なんでそうなるのかなぁ〜と今まで客観的に見聞きしていたが、まさか自身の関わる富士山を舞台に同様な出来事が起ころうとは思わなかった。やれ裏切りだ、やれ謀反だ、と私の周りには雑音が絶えなかった。巻き込まれたくないと、聞く耳持たないでじっと自身の活動に専念してきたこの一年間。

 命を賭けながら戦ってきたマータイさんと接してみれば、ボランティア団体同士の権力争いなどあまりにも次元が低い。戦う相手はもっと違うところにいるはずだ。細かい方法論など多種多様なのは当たり前だ。細かい事に執着するよりも、目指すべき方向性が大きく変わらないのならば、共に連携するべきじゃないだろうか。時に人間社会はとても疲れる。そして小さくまとまろうとしたがる癖がある。しかし、それもまた人間社会なのかもしれない。

 私には「富士山から日本を変える」という大きな夢がある。そのために樹海のごみゼロ作戦や富士山レンジャーの設立、などこの6年間、「富士山クラブ」と共に地道にコツコツと1つずつ取り組んできた。私は「富士山クラブ」の一員として同クラブを支え、また夢の実現の為にも「富士山クラブ」を始め地元の人々や環境省、山梨、静岡両県、また市町村などの行政とも連携をとりながら粘り強くコツコツと着実に活動を続けていきたい。

野口健