「野口健からのメール　FROM　カトマンズ」

　４月５日、カトマンズ入りした。日本での報道ではマオイスト（共産ゲリラ）と国軍との衝突が報じられ、また国王によるクーデター事件が相次いでいたので、なんとなく緊張した様子かと思いきや、カトマンズ市内に関してはいたって平常。

　一安心。しかし、この時代に毛沢東を称えながら出現したマオイストの存在を化石のような存在に思えてしまうのは私一人だけだろうか。まあ〜必ずしも彼らが純粋な共産主義者かといえばそれもはなはだ疑問を感じますが・・・。

　彼らが歴史を知っているとは到底思えないし、おそらく階級社会（カースト）に対する抵抗、特に王室に対する国民の反感はかなりのもので、打倒階級社会でありその象徴的な国王に対するテロ行為だろうと思いますが、混乱が続くネパールは観光シーズンでありながら、ガラガラの状態でなんとも寂しいものです。

　明日から高所トレーニングの為にエベレスト街道に向かいます。この街道はシェルパの山村を経由しエベレストのベースキャンプまで続くトレッキング街道です。ここで９日間、５０００ｍ付近まで標高を上げ高所トレーニングを行う予定です。

　ただ、情けない事に長引かせてしまった風邪をさらにこじらせ今日は一日中寝込んでいました。３月は特に忙しく、スケジュールの合間にトレーニングを詰め込めすぎたのか、バテバテだった。そして睡眠時間が少なく慢性的な寝不足がひびいたかな。カトマンズではとにかく寝ることに専念。日本にはない開放感からか久々に熟睡。幸せでした。眠られるって素晴らしい事です。

　おかげでこの２日間でいくぶんか回復しました。ヒマラヤ遠征を目前に毎日、ノンビリ過ごしています。とにかく、マイペース。９日間の高所トレーニングを終えたら再びカトマンズに戻りシシャパンマのあるチベットに向かいます。

４月５日 カトマンズにて 野口健