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LIFE WITH WILDLIFE
ムエカ野生生物管理大学


朝焼けのキリマンジャロ山
アリさんと大森君もムエカ大の卒業生だ 現在ムエカ大で学ぶ由佳さんと


 アフリカのエコ教育は進んでいる

 アフリカ野生生物に関する学校の始まりがこのタンザニアのムエカ大学だ。キリマンジャロの麓に位置し、標高が少し高いので暑すぎることも無く環境にとても恵まれたところだ。高地の生物を調査するにも、サバンナの生物形態の実地調査に出かけるにも好都合な場所である。 1963年に創立されたムエカ大学は、野生生物の専門的・技術的管理と実地調査、地元住人(地元の部族)との自然保護・共存に対する相互理解と教育、そして密猟者対策(授業に射撃もある!)などを中心に行っている。



 世界中から集まる学生達

 私達のアフリカ・エコツアーを共に旅してくれた大森君はここの卒業生で、国立公園などのエコツアーのガイドをしている。ムエカ大学には大森君のように海外から勉強しにやってきている学生も多く、アフリカ全土からの学生を含めてタンザニア外からの学生が3割を占めている。それでも最近はタンザニアの就学率が高くなっていて、以前は学生の半分が国外からの人たちだったらしい。このような大学は日本では聞いたことが無いし、世界的にもなかなか無いのだろう。だから世界中から学生が集まってきている。
参考までに、ムエカに学ぶ学生の出身国は下記のとおり。

アフリカ各国:
エジプト、スーダン、エチオピア、エリトリア、ソマリア、ケニヤ、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、マダガスカル、ボツワナ、南アフリカ、ナンビア、アンゴラ、カメルーン、ナイジェリア、ガーナ、リベリア、シェラレオネ
アフリカ外:
オーストラリア、カナダ、コロンビア、キューバ、デンマーク、フランス、インドネシア、アイルランド、日本、ネパール、パキスタン、パナマ、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、スウェーデン、イギリス、アメリカ




 少人数で多くを学ぶ

 ムエカ大学には通常130〜160人の学生がいるらしい。全寮制なので、収容できる学生の最大数は200人とのこと。学位を取るのに通常3年かかるが、更にアドバンスのコースもある。他にショートコース・プログラムもあり、数日間〜3週間まで特別授業・実地を受けることも出来る。 実際の学生の中には、国立公園のレンジャーをしている人が学びに来ていることも多く、週末や休暇の時には自分の職場に戻ったりするようだ。こうして自分の仕事の中で生まれた疑問や考えを大学にぶつけ、学び、よりよい国立公園にするべく活動しているのだ。 生徒達はとても積極的で、授業中は意見が飛び交い、一人一人のプレゼンテーション能力も高いようだ。



 ムエカの卒業生

 この大学で学んだことをどのように活かしているのか。大森君のように国立公園などでエコツアーのガイドをしている人もいるし、他に私達が会った人では、例えば大森君の彼女(タンザニア人)はキリマンジャロ国立公園で働いていて、現在キリマンジャロ山のゴミのプロジェクトを行っている話を聞かせてくれた。先輩のアリさんは、ザンジバルの森とそこに住む動物を調査・保護し、地元の人と話し合いを続けて共存するためのプロジェクトを行っている。 この大学を卒業していった日本の留学生の何人かは、日本に戻って実地調査の仕事や、ゴミ問題に取り組んだりしているとのことだ。

 現在ムエカには二人の日本人女性が学んでいる。松元香子さんと鈴木由佳さんだ。言葉や文化の壁を乗り越えて頑張っている彼女達が、この素晴らしいアフリカの大地で吸収した沢山のことを是非日本に持ち帰って、これからの日本の未来に明るい光をもたらしてくれたらと私も健さんも願うのだった。

「地球と出会う体感エコツアー〜タンザニア編〜」 (NHK BS-h)

2003年3月6日
谷口ケイ