−アジア・太平洋水サミット(本年12月3日・4日大分県にて開催)に向けて−
近年地球温暖化という言葉を耳にしない人はいないのではないでしょうか。これは私が登頂したエベレストのような高地でも温暖化による変化が顕著に現れるようになってきました。今、ヒマラヤでは、5000mを越える地で氷河が驚くほどのスピードで後退をしています。そしてその氷河の融解によりできた湖(氷河湖)が決壊し治水の準備のない下流の村々に洪水で被害を及ぼしているのです。その上、このままのスピードで氷河の後退が進めば2035年には氷河が無くなるとの調査結果も出ています。ヨーロッパ・アルプスでも同様に氷河の急速な後退という現象が起きていますが、一代の人間の生という、自然界にあっては比較的短い時間のうちにこうしたことが厳然と起きていることの意味を、科学者も、消費者も、生産者も、政治家も考えるべき時が来ていると私は思います。
その様な観点から私は本年、自身が運営委員を務めているアジア・太平洋水サミット(本年12月3日・4日大分県にて開催)において、温暖化による氷河の融解および、融解により及ぼす影響を上流国から下流国まで一つの問題としてとらえて考えたいと思っております。
以下の原稿は、これまでの原稿の中で特に温暖化に特化した問題を扱った内容および2007年の12月に大分県で開催される「アジア・太平洋水サミット」に向けた取り組みになります。
野口健

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