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トレッキングが始まってからというもの毎日が雪雪雪。さすがに1月だけあって寒い。ニマ・オンチュウと共にカラパタール(5545メートル)を目指す。エベレストの清掃登山に標準をあわせ、高所順応の為だが、咳が収まらずつらい。いつもヒマラヤでは寒さと乾燥の為に喉を痛め咳に苦しめられるが、今回は4000メートルを越えたあたりから咳が始まった。もともと気管が弱いのだが、年々この弱点でもある咳の状態が悪くなってきている。咳が止まないまま歩くのは実に苦しい。呼吸が合わずに酸欠になってしまう。毎年毎年、咳との戦い。やれやれ・・・。
1月25日、カラパタールに登頂。この日から完璧に晴れ、エベレストも真っ青な空にくっきり浮かび上がっている。ヒマラヤの空の青さは、文句なく真っ青だ。日本ではなかなかお目にかかれない。カラパタールの頂きから眺めるエベレストは美しいが、実はゴミだらけ。日本の富士山も遠くから眺めれば美しいが、やはり登山者や山小屋のゴミが目立つ。そして垂れ流されるトイレ。日本もヒマラヤも抱えている問題は同じだ。カラパタールの頂きからエベレストを眺めながら、
「後一ヶ月半もすれば、再びこのエベレストにやってくるんだな~」
と思うと、
「正直大変だな~と過酷だな~」
と、両肩にズシリと背負ってしまった課題の重さをひしひしと噛み締めていた。
しかし、講演で出会った子供達の応援が僕の背を押してくれる。いつでもどこでも子供達が僕の活動を応援してくれる。そしてときに一緒に僕の活動に加わってくれる。富士山での清掃活動でも僕の講演を聞いてくれた子供達が参加してくれた。僕の講演後から毎朝、学校までの通学路を掃除しつづけた小学校5年生の坂井君は教育委員会から表彰された。
雨の日も彼は大人たちが捨てたタバコを拾った。だらしない大人たちの行為に怒っていた。疑問を持ち、その疑問に立ち向かう姿こそ僕は生きた教育だと思っている。坂井君のような仲間が僕にはたくさんいる。大切な仲間だ。そんな仲間に囲まれた僕は幸せだ。だからこの過酷なエベレストの清掃活動を続けてこられたのかもしれない。エベレストを眺めながら日本の子供達の事を考えていた。
まだまだ、頑張んなくちゃ頑張んなくちゃ!