史上最年少で7大陸の最高峰を制覇した亜細亜大4年、野口健(当時25歳)。16歳で登山を始め、10年目で世界最高峰のエベレスト(ネパール名サガルマータ)の頂上を極めた。野口健のこれまでの軌跡を本人のエッセイで発信。
◇アタック開始(BCからC1) ついにこの日がきた。9日、午前5時半に目が覚めると、昨日から続いていた雪がやんでいた。BC(ベースキャンプ)を離れて山頂アタック開始...
ハーハーハー、呼吸がどうにも整わない。それだけじゃない、体にカが入らない。そして猛烈に眠い。一緒に同行している山岳部の同僚、及川幸治にどう頑張っても追いつけない。こんな事は一度もなかった。どうした...
マッキンリーに登頂した私の次なる目標は、南極大陸最高峰ビンソン・マシフ(4897メートル)となった。「南極大陸」。この言葉の響きを聞いただけでもゾクゾクと冒険心をくすぐられる。そして、植村さん...
「野口、お前が単独でマッキンリーに行ったら、死ぬよ。止めとけ」。私が入っていた某山岳会の先輩に言われた言葉である。私は、この瞬間に迷いが吹っ切れた。どこかでマッキンリー単独行は、ま...
モンプランに登っても、学校では相変らず落ちこぼれ扱いが続いたが、キリマンジャロ登頂の影響力は大きかった。まずは、英国人の先生の態度が変わった。英語の披業中に「ケン、キリマンジャロの話をしてよ!」と...
キリマンジャロ頂上。高山病にかかり山頂で吐いてしまった 1990年12月中旬、私はケニアのナイロビまではるばるやってきた。モンブランでは他のメンバーが高山病に苦しんでいるのに、自分は何...
モンブラン山頂付近。登頂できると確信が持てた。 1990年7月下旬にスイスに入り、まずはメンヒ山(4099メートル)に登った。山登りの経験がほとんどなかった私には、岩稜を歩くことも、...