清掃活動 , 私の進む道 , 講演会

2008/02/28

籠城生活

日頃、私は壊れたテープレコーダのようにひたすら喋り続けている。特に講演会であるが、年に100本は軽く超える。一時間半の講演を一日に三本こなすこともあった。そしてその間に取材に打ち合わせに、夕食だってやたら会食が多い。せっかくの御馳走、なにを食べたのかもよく思い出せない。自分でもよくもまあ~そこまで話し続けられるものだと呆れ驚く事もあるが、大半はこれも役目だと諦めの境地である。よく「野口さんはお喋りが好きなのですね。話している時の表情がとても楽しそうです」と指摘されるが、ほぉ~人からはそのように見えるのかと新発見だ。確かに講演会場で楽しそうに、また一言一句聞き逃さないように、早口で声高の聞きづらい私の言葉に一生懸命耳を傾けてくださる皆様の姿には嬉しくまたもっとゆっくり話さなければと反省する日々ですが。

がっ、しかし、実はプライベートの時には独り部屋に籠る事が多い。この三日間も伊豆の山中の部屋に独り籠っている。そしてテレビを眺め、日頃めったに目にしないバラエティに笑い、読もうとため込んでいた新聞や本をダラダラとだらしなく読むのが好き。年に何度かはこうして独りっきりの時間を楽しむ。もちろん、携帯電話は車の中に置きっぱなし。

昨日から読み始めたのが石原慎太郎氏の「オンリー・イエスタディ」(幻冬舎)。帯に「癖のある人物こそ面白い、人間の魅力とは」と書かれてあった通りがいかにも石原慎太郎氏らしい文章に大変興味深く一気に読めた。その中で石原慎太郎氏が学生の頃の就職活動の出来事が紹介してあった。これが、いかにも石原慎太郎氏らしくて、学生の頃から石原慎太郎はやはり石原慎太郎であった。一部を抜粋し紹介したい。

石原慎太郎氏が映画会社「日活」を就職活動として試験を受けた時のこと。日活の堀久社長との面接で、いわゆる最終面接の事でしょうが、面接中の堀久作社長に投げかけられた言葉に慎太郎青年は大そう腹を立て喧嘩をしたエピソードが面白い。一部を抜粋して紹介したい。

「なにしろ相手(堀久社長のこと)がいきなり私の事を「お前」と呼んだので、「私はまだあなたの社員じゃありません、それをお前と呼ぶのは失敬じゃないですか」といったら、じゃあ何と呼べばいいという。それなら「君」とか「あなた」というのが礼儀ではないですかとたしなめた、その場でもう帰っていいといわれてしまった」と、学生にこうも言われてしまった堀久社長もさぞかし呆気にとられ絶句したに違いない。

そういえば私も過去に一度ほど就職試験を受けた事がある。筆記試験の後は集団面接が行われるのだが、他の受験生の発言が誰もどれもみな決まり文句のように同じような言葉であったのに違和感があった。後に目にした就職活動対処法?なる参考書があってそこに「面接でこう聞かれたら、こう答えましょう」と書かれてあったが、彼らの発言はまさしくそれであった。なるほど、そういう事だったのかぁ~と納得させられたが、しかし、あまりにも模範的すぎて実につまらないし、そもそもその言葉は彼自身ではなく中身など空っぽだ。

紆余曲折ありながらも私は最終面接まで生き残ったがそこまでだった。最終面接で社長に「あなたはこの秋にエベレスト挑戦を控えていますが、もし、仮に登頂できなければ諦めるのですか」と聞かれたので「それはあり得ません。登れなかったらまた来年に挑戦します」と答えたら「わが社に入社していたら来年はエベレストには挑戦できませんよ。4月から社員になるのですから」と言われたので「いや、御社は私のエベレスト挑戦を応援、また支援してくださった。その御恩にお応えする為にも私は登頂するまで諦めるわけにはいきません。私を応援してくださっている御社にその考え方は理解できない事ではないと思いますが」と答えたらシーンと静まり返ってしまった。後に人事の方に「建前でいいから登頂できなかったらエベレストは諦めます」と言ってほしかったと注意された。結局、その一言が響いたのかそこまでとなったが、まったく悔いはない。自分を殺してまでお世話になりたくはない。
 
そして「仕事師という戦士」という章に特に心に響いた石原慎太郎氏の言葉があった。一部を抜粋し紹介したい。

「男の仕事は国をも動かし、世界をも動かす。男子の人生の欣快(きんかい)はそこにしかない。仕事をしない、仕事の出来ない男なんぞ何の価値も意味もない。たった一度の人生の中で、自分という男の存在の意味と価値を表す手立ては、自分以外の人間たちのためにも自分を役立てるという、仕事を通じての努力と献身以外にはありはしない」

この言葉に「きつい表現だなぁ~」と感じる方もいるかもしれない。しかし、私には素直に共感できるし、そうでなけらばならないと日々体に鞭を打っている。つまりこうでありたい、こうでなければならないと自身に対する声なのかもしれない。特に私なんかは人一倍に怠けものだ。自身を追い詰めないと一日中ボケーと過ごせる。たった一度の人生、何ができ、何が残せるのか、人を傷つけまいと過剰に言葉をオブラートに包む風潮の中で、石原慎太郎氏の言葉は時に露骨で単刀直入であるが、直接的に私の胸にグサリと突き刺さり、なんとも心地いい。

 今日は独りのんびりと石原ワールドに浸りまた明日から頑張ろう!と充実した三連休でした。原稿もだいぶ書けた。スイッチが入ってしまったのか、このブログしかり、野口健HPの「野口健メッセージ」の方にも「環境問題に国境はない」をテーマに書きました。しばらくHPまたブログに原稿をあげていなかったのでこれでスッキリ。ほっとしました。しばらく書けないと罪悪感に襲われてしまう・・・。
 
 明日は石垣島に移動。明後日からアムウェーの方々と西表島の海岸清掃活動を行う。あの東洋のアマゾンも実は中国大陸から日々流れ着く大量の漂着ゴミに悲鳴を上げている。西表島での清掃活動はこれで4回目となるが、島の人々が日々ゴミと闘っている姿に頭が下がる思いだ。なにしろ回収したゴミを石垣島まで運ばなければならないのだ。また海岸に生息しているマングローブ林にも漂着ゴミが流れ込み、根っこが複雑に絡み合っている隙間の奥にゴミが入り込み人の手では届かない。拾っても拾っても台風の度に一からやり直し。終わりのない戦いだ。故にゴミを出す側の意識を変えていかないと意味がないと、アムウェーさんにお願いし中国アムウェーと韓国アムウェーからの参加者を募集した。残念ながら中国サイドからの参加は彼らによって見送られたが、韓国アムウェーは参加することになった。まずは日韓で始めいつかは中国にも参加してほしい。

 それでは、次は西表からのレポートしたいと思います。(通信できる環境ならば)それでは、おやすみなさい!
2008年2月28日 伊豆の山中にて 野口健

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