ホーム

ブログ

レポート・インタビュー記事 , 出版関連

【書評倶楽部】衆院議員 小池百合子氏からの書評

レポート・インタビュー記事 , 出版関連

2009/07/09

【書評倶楽部】衆院議員 小池百合子氏からの書評

小池百合子氏(元環境大臣)より、野口健著「自然と国家と人間と」に対し、産経新聞・書評倶楽部に以下のような書評が寄せられました。

【産経新聞 書評倶楽部】衆院議員・小池百合子氏 

kokka
「自然と国家と人間と」


■環境、遺骨...野口少年の思い

 多感な少年が、そのまま大人になったというのがアルピニストの野口健さんだ。日本の外交官を父に、エジプト女性を母に持つ野口さんと私はエジプトつながりもあり、環境大臣当時から、親しくお付き合いしてきた。

 「ヤンバルクイナなどの貴重な生物に出会うよりも、数少ない環境省のレンジャー(自然保護官)に出くわすほうが少ないですよ」と冗談まじりに日本の生態系保全が不十分だとする野口さんの指摘は痛烈だった。たしかに箱根から小笠原までの広域で担当レンジャーはわずか6人(箱根2人、沼津1人、下田1人、小笠原2人)。全国で250人程度しかいない日本のレンジャーであり、2万人態勢のアメリカのパークレンジャーとは比較対照にもならない。おまけに彼らは銃を携行する警察官的存在だ。

 この野口さんのひと言をきっかけに、2005年、レンジャーの補佐役としてアクティブ・レンジャー制度を設けることにした。公募の上、全国で60人ほどの優秀な人材が加わる結果となった。

 本書は野口さんの従来の環境活動に加え、フィリピンのセブ島やレイテ島での遺骨収集に関する現場の苦労話を盛り込んである。だから「自然と国家と人間と」というタイトルとしたのだとわかる。

 ヒマラヤ登山で仲間の死に直面したり、過酷な自然状況の中で自ら、死を覚悟するような瞬間を覚えたり、アルピニストとして野口さんは人間の極限を経験してきた。それでも、それは自らの意志による行動における経験だ。

 一方、「赤紙一枚でご自身の意志とは関係なく戦場に派兵された」先人たちの遺骨を前に、先の戦争は「何だったのだろう」と野口さんは歴史をたどる。

 やんちゃな青年時代を振り返る著書の中には、日本の国粋的な団体入りを思い立ったものの、たった一日でクビになったという武勇伝も記している。見かけはバタ臭いが中身は日本男児そのものの野口さん。この次は何を目指すのだろうか。
                               小池百合子

(産経新聞 書評倶楽部より引用)

産経新聞 書評倶楽部
P1060439


カテゴリー別

ブログ内検索

野口健公式ウェブサイト


(有)野口健事務所 TEL: 0555-25-6215 FAX: 0555-25-6216